業務規定の作り方

close up of rules book

前回は、コンプライアンス・ハンドブックと業務規定の違い、そして二重管理を避けるための考え方について整理しました。本日は、実際にどのように業務規定を作ればよいか、できるだけシンプルにまとめてみたいと思います。

1.書くべきは自社の運用のみ
業務規定を作る際に最も重要なのは、「遵守事項は書かない」「自社の運用だけを書く」という原則です。ここが曖昧になると、ハンドブックの内容を重複して書いてしまい、二重管理が発生します。この前提を押さえたうえで、次のステップに進みます。
2.基本構成
無理なく運用できるためには、次の7つの章立てにします。
① 総則(目的・上位規程・適用範囲)
 〇 本規定の目的
 〇 適用範囲
 〇 上位規程(法令・ハンドブック)
   ⇒ ここで「遵守事項は上位規程に委ねる」と明記するのがポイント
② 組織体制(役割・権限・責任者)
 〇 組織図
 〇 代表者・管理者・一般社員の役割
 〇 決裁権限
 〇 コンプライアンス管理責任者(1名に集約)
   ⇒ 利益相反・情報管理などの業務の責任者を兼務すると効率的
③ 募集プロセス(自社の流れだけを書く)
 〇 意向把握・重要事項説明のプロセスを統一
 〇 契約計上前のチェックの方法
 〇 募集記録の残し方を統一
④ 事故対応・保全業務
 〇 苦情受付と記録
 〇 個人情報の保管方法
 〇 利益供与の判断基準(自社の運用のみ)
⑥ 教育・研修
 〇 年間研修計画
 〇 新人・中途入社員研修
 〇 教育記録の保管方法
⑦ 実態把握と改善サイクル(含む自己点検)
 〇 点検・モニタリングの頻度
 〇 点検・モニタリング項目
 〇 把握した記録と改善の流れ
この構成に沿えば、過不足なく業務規定を作れます。

3.書き方のポイント
① 総則に「二重管理を避ける宣言」を入れる
具体例は、以下のとおり。この一文があるだけで、重複を防げます。
〇 本規定は、法令および各保険会社のコンプライアンス・ハンドブックを上位規程とし、当代理店の業務運営方法を定める。
② 組織体制では、責任者を増やさない
損保会社は項目ごとに責任者を求めますが、現実的ではありません。
〇 コンプライアンス管理責任者:1名
  個人情報・利益供与などは担当者として兼務することも可能
③ 募集プロセスは、自社の流れだけを書く
〇 禁止事項や説明内容は書かない。それはコンプライアンス・ハンドブックに委ねる。書くのは、チェックのタイミング、面談の流れ、記録の残し方です。
④ 内部管理は、運用の仕組みだけを書く
例えば利益供与なら、受付方法、判断基準(自社の運用)、記録方法、報告ルートだけを記載して、禁止事項は書きません。(禁止事項はハンドブックに書いてあるため)

4.生損保の温度差に振り回されないために
損保は細かく、生保は緩いという特性があります。この温度差は業界構造の問題であり、代理店側ではコントロールできません。だからこそ業務規定は、どの保険会社にも依存しない形で作ると、最も安定します。
 〇 自社の運用だけを書く
 〇 上位規程を明記する
 〇 責任者は集約する
この3つを守れば、どの保険会社の点検にも対応できます。

<まとめ>
業務規定は、現場を守るためのツールです。
 〇 業務規定は、書類のための書類ではない
 〇 コンプライアンス・ハンドブックと役割が違う
 〇 二重管理を避けるには、運用だけを書く
 〇 生損保の温度差に左右されないためにも必要
 〇 自社の業務を安定させるためのルールブック
読者の皆様からご要望があれば、次回は実際の業務規定のサンプル(文章例)についても触れてみたいと思います。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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