個人情報保護のルールの中でも、代理店さんが特につまずきやすいのが「利用目的の伝え方」です。保険会社のe-learningやコンプライアンス・ハンドブックでは、「明示・通知・公表の3つがあります」と説明されていますが、実務ではこれだけでは分かりにくいものです。そこで今回は、代理店の現場で、どう動けばよいのかについて、できるだけ優しく整理してみたいと思います。
1.利用目的を伝える方法
利用目的の伝え方には、以下の3つがあります。
〇 明示(紙や画面で見せる)
〇 通知(個別に送る)
〇 公表(ホームページなどに掲載する)
代理店の実務では、「明示」を募集プロセスに入れることで、適正な運用が可能になります。
2.明示=紙か画面で見せること
明示とは、利用目的が書かれた紙や画面を、お客様に見せることを指します。申込書、重要事項説明書、WEB申込画面などが実務で使われています。これらに利用目的が書かれており、お客様に提示すれば明示完了です。「口頭で説明しただけ」は明示になりませんので、運用上では間違いが起こらないようにご注意ください。
3.申込書や重要事項説明書を見せる大切さ
申込手続きの際には、 重要事項説明書の中に利用目的が書かれています。つまり、「重要事項説明書を見せる=利用目的の明示」ということです。ここは、代理店さんが実務で漏れやすいポイントですが、実務では非常に大切です。重要事項説明書をお見せすることが、個人情報の利用目的を明示するプロセスを適正に運用できます。
4.個別に明示が必要な場面
実務で注意すべきは、申込書や重要事項説明書を渡さない場面です。具体的には次の2つです。
① 見込み客から他社の保険証券を預かるとき
〇 他社の火災保険証券を預かって比較する
〇 他社の自動車保険証券を預かって見積りする
この場合、まだ申込手続きではないため、重要事項説明書を渡していません。したがって、「比較・見積りのために利用します」と、紙や画面で明示する必要があります。
② 乗合代理店で、更新時に他社の見積りをする場合
〇 A社で契約中のお客様に、B社・C社の見積りを提示する
〇 他社も含めて比較してほしいと依頼された
A社を含め、加入中の保険会社の重要事項説明書には、「他社商品の見積りに使う」とは書かれていません。そのため「他社の商品・サービスの検討に利用します」と、個別に明示する必要があります。
実務に盛り込むということは、こうした説明を担当者ごとにバラバラに行うのではなく、プロセスとして統一し、誰が対応しても同じ説明ができるようにすることを指します。
5.比較推奨販売のプロセスに「利用目的の明示」を組み込む
乗合代理店では、更新時に他社の見積りを行うケースが多くあります。このとき、比較推奨販売の説明プロセスに利用目的の明示を組み込むことで、説明漏れがなくなります。
<実務で使える文例>
「今回、複数の保険会社の商品を比較してご提案します。そのため、お預かりする情報は、他社の商品・サービスの検討にも利用します。」
これを紙または画面で見せれば、OKです。
6.徹底すべき実務ルール
難しい法律用語を覚える必要はありません。徹底すべきは、申込書や重要事項説明書を渡さない場面では、必ず利用目的を明示することです。これだけで、ほぼ全てのケースをカバーできます。
<まとめ>
〇 明示=紙や画面で見せること(口頭だけはNG)
〇 申込書・重要事項説明書を見せれば明示完了
〇 見込み客対応・他社見積りは個別明示が必要
〇 比較推奨販売のプロセスに組み込むと漏れがなくなる
〇 徹底すべき実務ルールは、申込書を渡さない場面では必ず明示
代理店さんが迷いやすいポイントを押さえることで、日々の業務の中で自然に適正運用ができるようになります。コンプライアンス・ハンドブックにこのような例示文が掲載している保険会社があれば、その文言を利用すると良いでしょう。ご理解いただけましたでしょうか。



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