7月3日の財務大臣会見で、兼業代理店に関する質問が出ました。「品質向上の名を借りて兼業代理店の切り捨てが進んでいるのではないか」「金融庁の指導という言葉が独り歩きしているのではないか」「顧客本位と言えるのか」という、現場の不安を代弁する内容でした。財務大臣の回答は丁寧で、制度の趣旨を説明するものでしたが、現場の代理店が感じている実態とは必ずしも一致していません。今回は、会見のポイントと、代理店さんを取り巻く影響について整理します。
1.財務大臣の回答の要約
財務大臣の回答を整理すると、次のようになります。
〇 兼業代理店を一律に問題視しているわけではない
〇 過度な体制整備を求めるつもりはない
〇 一方的な契約解除は望ましくない
〇 実態調査をすでに開始している
〇 コンプライアンス強化は顧客本位につながる
〇 損保会社には、真の品質向上を求める
つまり、「兼業代理店を切り捨てる方向ではない」というメッセージが含まれています。
2.第一線で起きている事象
会見の回答は制度の建前として正しいのですが、現場では次のような声が広がっています。
〇 兼業代理店への指導が急に厳しくなった
〇 小規模専業代理店にも同じ圧力がかかっている
〇 金融庁の指導という言葉が理由に使われている
〇 実態調査よりも先に選別が始まっている
〇 品質向上という名目で、負荷だけが増えている
つまり、圧力は兼業代理店だけでなく、小規模専業代理店にも及んでいるというのが第一線の実感であり、財務大臣の回答からも、過度な対応は望ましくないという行政の懸念が読み取れます。
3.第一線の認識がズレる理由
理由は大きく3つあります。
① 第一線が金融庁の指導を過度に解釈している
金融庁は「規模に応じた体制整備」と言っていますが、現場では「一律の基準」が必須と解釈して活動している。
② 品質向上の名目で、実務負荷が増えている
品質向上は重要ですが、書類・点検・確認・報告が過剰になると、小規模代理店ほど疲弊します。
③ 兼業・専業の区別なく、規模で負荷が偏る
兼業か専業かではなく、小規模代理店ほど体制整備の負荷が重くなるという構造があります。
財務大臣は制度の趣旨を説明していますが、 第一線が抱える負荷は、制度の想定を超えていると容易に推察できます。第一線は、規模に応じた体制整備という本来の趣旨よりも、一律の基準を満たすことに意識が向きすぎている。
4.会見が示す行政の本音
財務大臣の回答から読み取れる行政の本音は、以下の通りです。
〇 兼業代理店を切り捨てる意図はない
〇 小規模代理店にも継続してほしい
〇 過度な体制整備は求めない
〇 一方的な契約解除は望ましくない
〇 実態調査を行い、第一線の誤解を正したい
〇 損保会社にこそ、品質向上を求める
つまり、行政は「代理店の選別」を望んでいないということです。むしろ、損保会社の第一線による過度な対応を抑制したいという意図が読み取れます。
5.代理店が今やるべきこと
今回の会見を踏まえて、代理店が取るべき行動は次の通りです。
〇 業務品質の統一(最優先)
〇 手続きの漏れ・誤りの減少(実効性のある改善)
〇 説明責任の明確化
〇 再発防止策の実行と定着
〇 保険会社とのコミュニケーション強化
〇 金融庁の指導という言葉の真意を確認する
行政は「規模に応じた体制整備」を求めています。つまり、小規模代理店でも十分に対応可能な範囲です。
<まとめ>
今回の財務大臣会見は、兼業代理店だけでなく、小規模専業代理店にとっても重要な内容です。
〇 切り捨てではなく、品質向上への期待
〇 過度な体制整備は求めない
〇 一方的な契約解除は望ましくない
〇 実態調査で誤解を正す
〇 小規模代理店でも十分に対応可能
第一線の不安が強い時期だからこそ、今回の会見は、冷静に整理しておくべき内容と感じます。だからと言って、中小規模の代理店が今まで通りの業務品質で構わないという意味ではありません。品質向上への取組みや体制整備に後れを取らないよう、引き続き丁寧に進めていくことが大切です。



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