制度見直しが意味するモノ

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大手外資系生保社が、不適切行為の再発防止策として、完全歩合の見直し、固定給の引き上げ、新規手数料の分割支払いなど、成果主義の根幹に手を入れる制度改革を公表しました。同社は、不祥事の原因を「新規契約が取れなくなった営業職員が生活苦に陥り、詐欺行為に走った」と整理しています。しかし、この説明は本当に構造を捉えているのでしょうか。今回の不祥事の原因はもっと深いところにあり、制度そのものが行動を歪めた可能性が高いと考えています。

1.不自然な因果関係
新規契約が取れない営業職員は、以下の構造があるのではないでしょうか。
 〇 総顧客数が少なく、親密な顧客も少ない
 〇 資金余力のある顧客が少ない
 〇 金銭をだまし取るほどの強い関係性がない
つまり、詐欺行為の対象となる顧客が少ないと推測できます。このため、「新規が取れない営業職員が詐欺に走った」という分析は、現場の構造と一致しません。

2.成績優秀者が詐欺に走りやすい構造
成績優秀者は、顧客数が多い、資金余力のある顧客が多い、表彰・特別待遇で生活レベルが上がる、新規手数料の一括支払いで収入が急増する、優越感が営業行動を支えるという構造の中で働いています。このため、収入が落ちたときに生活レベルを維持するために不正に走るリスクが高いと推測できます。これは、成果主義が生む行動誘発メカニズムです。

3.原因は制度が生む優越感と生活レベルの急上昇
大手生保社の営業職員制度は、新規偏重、収入一括支払い、表彰制度、優秀者への特別待遇、優越感を刺激する文化という特徴があります。これらが複合的に作用し、生活レベルが急上昇し、それを維持するために行動が歪む構造を生み出していました。つまり、 不祥事の原因は生活苦ではなく、成果主義が生む優越感と生活レベルの急上昇にあった可能性が高いのです。

4.原因が異なるなら対策も異なる
大手外資系生保社が行う対策は、固定給の引き上げ、新規契約手数料の分割支払いなど、制度の一部を修正する内容です。しかし、前述した分析に基づく対策は、もっと深いところにあります。
<廃止候補>
 〇 一括支払いによる収入の急上昇
 〇 新規契約偏重の評価制度
 〇 優秀者表彰
 〇 優秀者向けの接待・特別待遇
 〇 優越感を制度的に強化する文化
<導入候補>
 〇 長期にお客様をお守りする活動を評価する制度
 〇 収入を数年間にわたり安定させる仕組み
 〇 営業職員の生活レベルを急上昇させない制度と教育
 〇 組織文化の健全化
 〇 コンプライアンスと成果の両立を評価する仕組み
つまり、成果主義の文化・評価・収入構造を根本から見直す必要があるのです。

5.生命保険営業モデルの転換点
今回の大手外資系生保社の制度改革は、単なる一社の問題ではありません。
 〇 成果主義の限界
 〇 新規契約偏重モデルの限界
 〇 長期契約の本質への回帰
 〇 営業職員の生活安定
 〇 組織文化の健全化
 〇 コンプライアンス体制の強化
これらは、生保業界全体が抱える構造課題です。そして、代理店経営にも同じ課題があります。

<まとめ>
 〇 原因は生活苦でなく、制度が生む優越感と生活レベルの急上昇
 〇 優秀者のほうが不正に走りやすい構造がある
 〇 新規偏重・表彰制度・特別待遇が行動を歪める
 〇 対策は制度の修正ではなく、文化・評価・収入構造の再設計
 〇 今回の制度改革が、生命保険営業モデルの転換点になる可能性がある
成果主義の見直しは、単なる制度変更ではなく、営業文化そのものを問い直す契機であるべきと思われます。読者の皆様は、どのように感じられるでしょうか。

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