日経新聞に「変わるか保険代理店」という記事が掲載されていました。比較推奨販売に関する金融庁のパブリックコメントが非常に分かりやすく整理されており、代理店経営者として理解しておくべき重要なテーマだと感じました。金融庁は今回、比較説明と推奨販売を明確に分け、代理店に「どちらを採用するか」を選ばせるルールを示しました。この背景には、乗合代理店の二つの実態が深く関係しています。
1.乗合代理店の二つのタイプ
① 3社程度の乗合で、拠点ごとにメイン会社がある代理店
拠点ごとに「この会社が中心」という構造が生まれやすい
結果として、特定社推しにつながる傾向がある
② 全社乗合だが、商品ごとに販売会社が偏る代理店
会社選択の幅は広いが、 販売実績は特定社へ偏る傾向がある
代理店によっては、販売時期により販売商品が偏る代理店もある
金融庁は、この構造的な偏りを事実として把握したうえで、今回のルールを定めたと理解しています。
2.最大の悩ましさ
推奨販売を選択する代理店が大半になると思われますが、経営者が最も悩むのは顧客意向の具現化です。実際には、どんな保険に入りたいか、どんな補償を得たいかと言う、明確な意向を持つ顧客は、ほぼ存在しません。だからこそ、顧客との対話の入口で意向を具現化する統一した話法が必要になります。そして、その意向を 商談中にシステムへ記録し、成約した保険会社のシステムへコピペするという作業が必須になります。これが、代理店にとって最も負荷の高い部分です。
3.記録システムの二つの選択肢
金融庁のルールを実務に落とし込むためには、代理店側で次のいずれかの仕組みを整える必要があります。
① 代理店側で記録システムを作り、各社へコピーする
代理店が自前で意向記録システムを作り、成約した保険会社のシステムへ貼り付ける方式
② 保険会社共通の記録システムを作り、成約会社へ自動遷移する
本来はこの方式が望ましい
損保は足並みが揃いやすいが、生保は業界統一する文化がない
この結果、生損保で足並みが揃わない構造的な問題が生まれます。私見ですが、代理店ごとに一旦社内に記録システムを構築するのは、明らかに費用面でムダであり、業界が統一するべき課題だと感じています。
<まとめ>
今回の改正は、代理店の売り方を変えるものではなく、代理店のあり方を問うものだと感じます。
〇 顧客意向の具現化(実務では統一して行うことが最も難しい)
〇 意向記録の統一化(システム化できれば難しくはない)
〇 推奨理由の標準化(各社商品が変わる都度修正が必要で現実的でない)
〇 特定社推しの抑止(これを禁止されたことが実は痛い)
〇 透明性の高い比較(比較資料を代理店が作る以上、透明性は高くない)
〇 管理態勢の強化
これらを整えることが、これからの代理店経営者に求められる姿です。私見ですが、当面は代理店さんはシステム化に舵を切るよりも、まずは、以下の2点を取り組むべきではないかと考えます。
〇 推奨販売の話法を統一する(特に導入部分で顧客意向を聞き出すパート)
〇 導入から決定までの経緯を記録する仕組みを運用する
本日も、最後までお読みいただき、ありがとうございました。このテーマは、引き続き掲載していく所存です。



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