最近、有名企業の品質不正に関する第三者委員会報告が公表されました。その中で示されたコメントが、非常に示唆に富んでいました。
〇 トップダウンで設定した目標の矛盾を、拠点に押し付けていた
〇 安全性や性能に問題がなければ、法令や契約の違反にはあたらないという認識
〇 業容拡大に管理能力が追いついていない
これらは、有名企業だけの問題ではなく、多くの企業が心当たりのある構造的な課題ではないかと感じました。本日は、この構造を整理し、経営層が自社を見直す材料として提示したいと思います。
1.トップダウン目標の矛盾を現場に押し付ける構造
報告書では、経営層が掲げた目標が現場の実態と乖離していたにもかかわらず、その矛盾を修正せず、現場に押し付けていたと指摘しています。これは、どの企業でも起こり得る構造です。
〇 目標が高すぎて実態と整合していない
〇 経営層は矛盾を認識している
〇 しかし、目標は修正されない
〇 達成できない目標を達成するために、無理な運用に追い込まれる
ここで問われるべきは、目標の正しさではなく、目標と実態の整合性です。
2.問題が起きなければ良いという危険
報告書には、次のような趣旨がありました。
安全性や性能に問題がなければ、法令や契約の違反にはあたらない。
これは、企業が陥りやすい、結果オーライ型コンプライアンスの典型です。
〇 お客様に気づかれなければ問題なし
〇 トラブルが起きなければ違反ではない
〇 形式上はルールを守っているように見える
〇 実態はルールの趣旨を逸脱している
これは、事業活動の本質から外れます。事業活動は、形式ではなく実態で表すものです。
3.業容拡大に管理能力が追いつかない構造
報告書は、次の点も指摘していました。
業容拡大に管理能力が追い付かない。
これは、合併・吸収などで規模が大きく拡大した企業が必ず直面する問題です。拠点が増える、人員が増える、業務が複雑化する、規模が拡大する、管理の仕組みが旧来のまま、統制が効かなくなる、現場の判断にばらつき、不正や逸脱が見えなくなるなどです。これは、どの企業でも起こり得る構造的なリスクです。保険業界には、このカテゴリーの代理店が多く見られます。
4.自社への問い
今回の事例は、経営層が自社を見直すための鏡になります。
〇 目標と実態は整合しているか
〇 社内の常識は社会の常識とズレていないか
〇 現場の常識を経営層が知る努力をしているか
〇 制度が目的化していないか
〇 管理能力は業容拡大に追いついているか
〇 現場の声を吸い上げる仕組みはあるか
これらの問いは、どの企業にも当てはまります。
<まとめ>
〇 一流企業の品質不正は特殊な事件ではない
〇 どの企業でも起こり得る構造的な問題と受け取る
〇 経営層が自社を見直すきっかけにできる
次の機会には、これらの構造的問題を防ぐための解決策について、整理したいと思います。本日は、社会で起きた出来事を組織を見直す機会として捉え、経営層向けに整理しました。皆様の経営判断に、少しでもお役に立てば幸いです。



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