高い教養・学歴・常識もリスクは防げない

businessmen having a meeting

先日、ある方のお話を聞いて、興味深い言葉がありました。その方は「私は高い教養も学歴もあり、常識的な行動を心掛けてきたので、コンプラやハラスメントのリスクは低いと思う」という話をしました。確かに、高い教養や学歴を身につけ、多くの経験を積んだ方は、礼儀やマナーに優れていて、失礼な言動を取る可能性も低いかもしれません。しかし私は、少し違和感を覚えました。

高い教養や学歴・教養があることは、素晴らしいことです。多くの知識を学び、広い視野を持ち、社会の仕組みを理解する力にも繋がります。また、常識的で品位のある言動を心掛けている方も多いです。一方で、それらとコンプラリスクへの対応力は必ずしも同じではありません。コンプラでは、以下のような要素が必要です。
 〇 法令を理解する
 〇 社会の変化を理解する
 〇 相手の受け取り方を想像する
 〇 問題が起きる前に立ち止まる
つまり、知識だけではなく、受け取る感度や導き出す判断力も必要です。
ハラスメント事案などでよく耳にする言葉があります。それは、そんなつもりはなかったという言葉です。本人に悪意がなかったとしても、相手が不快に感じたり、職場環境に良くない影響を及ぼしたりすることがあります。むしろ、「自分は常識がある」「失礼なことは言わない」という自信が強くなるほど、自分の言動を振り返る機会が減ってしまう可能性が高まります。だからこそコンプラは、知識だけでなく、自分自身を客観的に見つめる姿勢も大切なのだと思います。

現在のコンプラは、イコール法令遵守ではありません。社会規範や企業倫理、リスクマネジメントの視点も、重要視されています。法令違反ではないから問題ないという考え方では、社会の信頼を失うことがあります。また、「自分は大丈夫だから確認しなくても良い」という考え方も、リスク管理の観点では危険です。リスクマネジメントとは、自分自身を信用し、過信することではありません。自分にも見えていないリスクがあるかもしれない、と常に考えることが必要です。

私は高い教養・学歴・常識を否定したいわけではありません。むしろ、それらは仕事をするうえで大切な財産です。しかし、それだけでは、コンプラリスクを防げません。社会は変化し、価値観も変化します。過去には問題にならなかった言動が、現在では問題視されています。だからこそ、「自分は大丈夫」ではなく、「自分にも見えていないリスクがあるかもしれない」と考え続ける姿勢が重要です。高い教養・学歴・常識を持つことと、コンプラに強いことは、必ずしも同じ尺度ではないと思います。そして、本当に大切なのは、自らを過信せず学び続ける姿勢なのかもしれません。

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