令和8年10月1日から、カスタマーハラスメント対策が事業主の義務となります。事業主には方針の明確化や相談体制の整備などが求められることになりました。これを受けて、HPにカスタマーハラスメント対策方針や根絶宣言を掲載しようと考えている代理店経営者も多いのではないでしょうか。本日は、HP掲載にあたって、気になった点について考えてみます。
<制度の趣旨を確認する>
今回の制度は、お客様対応をする従業員を守ることが大きな目的です。厚生労働省では、カスタマーハラスメントを「社会通念上許容される範囲を超えた言動によって、労働者の就業環境が害されるもの」と位置付けています。 [mhlw.go.jp], [mhlw.go.jp] そのため、方針の明確化、従業員への周知、相談体制の整備、事後対応などが求められています。 [mhlw.go.jp], [mhlw.go.jp] 制度の詳細については、厚生労働省のホームページや資料をご確認いただくことをお勧めします。
<掲載を目的にする過ち>
最近は、インターネット上でカス・ハラ対策方針の例文を数多く見ることができます。しかし、そのまま掲載してしまうことには注意が必要です。例えば、大規模代理店、保険会社、一般企業の方針には、社内相談窓口、複数の管理責任者、調査体制、再発防止委員会などが盛り込まれていることがあります。ところが、小規模な代理店さんでは、実態に合わない場合もあります。まずは、自社の実態に合っているかを確認することが大切だと思います。コンプラ責任者任せにしないで、作成当初から経営者が関与することが、作成時間の短縮と、企業としての誠実さを表すことに繋がります。
<見落としやすい盲点>
私が、特に気になるのは、お客様を遠ざける文章になってしまうことです。カスタマーハラスメント対策は必要です。しかし、苦情、ご意見、ご要望、改善提案まで拒絶するものではありません。保険代理店にとって、お客様からのご意見は業務品質向上の貴重な機会でもあります。そのため、「厳しく対応します」という内容だけが並んでしまうと、本来の趣旨とは少し違った印象を与えるかもしれません。これが盲点です。
<保険代理店らしい表現>
保険代理店は、お客様との信頼関係によって成り立つ仕事です。だからこそ、まず最初に
〇 お客様の声に耳を傾けること
〇 ご不満やご意見を真摯に受け止めること
を表明することが大切ではないでしょうか。そのうえで、暴言、威圧的な言動、誹謗中傷、不当な要求などについては対応できない旨を記載します。この順番の方が、保険代理店らしさが伝わるように感じています。
<掲載文よりも大切なこと>
ホームページに掲載すれば終わりではありません。本当に重要なのは、
〇 どのような行為をカスハラと考えるか
〇 誰が判断するのか
〇 どのように対応するのか
を代理店内で共有しておくことです。掲載文は、その考え方をお客様へお伝えするための手段に過ぎません。代理店における「新たな体制整備」が必要です。プランとしてルールを掲載し、ドゥとして社内教育を実施し、チェックとしてお客様の声や従業員ヒアリングを行い、アクションとしてその対応の良し悪しを社内で考えて改善を促すことが、いわゆるPDCAサイクルを回すことになります。これができれば、業務品質評価制度でも高い評価を受けるでしょう。
<まとめ>
カスタマーハラスメント対策の義務化をきっかけに、多くの企業や代理店がホームページへの掲載を進めることになるでしょう。しかし、掲載すること自体が目的ではありません。大切なのは、お客様とのどのような関係を大切にしたいのかを明確にすることです。保険代理店に求められているのは、お客様を遠ざけるための宣言ではなく、相互に尊重し合える関係づくりを示すことなのかもしれません。ここでも代理店企業としての誠実さを示していきましょう。



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