ハラスメントは、人を嫌がらせること、困らせることです。2022年4月より中小企業にも職場におけるパワーハラスメント対策が義務化されたことから、整理してみます。
2016年に厚生労働省が実施した「職場のパワーハラスメントに関する実態調査」によると、過去3年以内にパワーハラスメントを受けたことがあると回答した者は32.5%あり、また、都道府県労働局における「いじめ・嫌がらせ」の相談件数も2018年度には8万件を超え、対策は喫緊の課題となりました。
2019年の通常国会にて「⼥性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の⼀部を改正する法律」が成⽴し、これにより「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇⽤の安定及び職業生活の充実等に関する法律」(=労働施策総合推進法)が改正され、職場におけるパワーハラスメント防止対策が事業主に義務付けられました。
併せて、男⼥雇⽤機会均等法及び育児・介護休業法においても、セクシュアルハラスメントや妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントに係る規定が⼀部改正され、今までの職場でのハラスメント防止対策の措置に加えて、相談したこと等を理由とする不利益取扱いの禁止や国、事業主及び労働者の責務が明確化されるなど、防止対策の強化が図られました。
労働施策総合推進法にて、事業主が求められているのは、以下の2点です。
職場におけるパワーハラスメントが起こらないように、労働者からの相談に応じ、適切に対応するための体制の整備、その他の効用管理上必要な措置を講じなければならない。
事業主は、労働者が相談したことや事実を述べたことにより、解雇その他不利益な取り扱いをしてはならない。
もし、まだ対策を講じていなければ、以下の順に進めると良いと思います。①パワーハラスメントを含む各種ハラスメントに関する社内方針を策定して社内外に宣言する。②ハラスメント方針を社内に通知説明し、相談窓口の案内や相談したことによる不利益がないことを周知する。③リーダー職に対して、ハラスメント対策が必要となった背景と経緯を説明し、自分の言葉で部下に説明できるように理解させる。④リーダー職は、部下との定期的な1対1面談を設けて、ハラスメント対策への理解に努める。
大切なことは、パワーハラスメントを許さないという通知と、ハラスメントを受けた人を守る仕組みや相談を受ける仕組みが機能することです。



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