名門企業にて、長期に亘る品質の不適正が明るみになり、第三者委員会に追加調査を依頼した。その結果、他の事業所の不適正を公表するとともに、現経営陣の処分を行い、過去の経営陣にも報酬の自主返納を求めた。スピーディーな対応である。
追加調査報告書には、品質と風土の改革、カバナンス改革を具体的に求める提言がある。トップをプロジェクトリーダーに任命し、取締役会の改革や、不正に対して物が言える風土の醸成を求めている。
長期に亘る不正の継続、不正に気付いた従業員の通報がないなどの要因につき、「この件は、根が深いよ」と第三者委員会は警告した。要すれば、改革を成功させてこそ、信頼を回復できるのだから、心してかかってね、と伝えた。
第三者委員会の指導に従い、内部通報できる優秀な従業員を育て、意識・組織・知識の改革を進めて、その経過を公表することで、信頼回復の兆しを伝え続けていけば、風土が改革できる。改革が軌道に乗り、目途が就いた頃に、事件の全容に対して処分しても、遅くはない。
企業理念を阻害する規模の不適正行為が発覚した場合は、事実の解明と改善策の進展を伝え続けることに尽きる。その中で徐々に信頼を回復してくれば、起業理念の実現に向けた取組みが再開できる。失った信頼を回復するには、時間を要すると、改めて考えさせられた。
今はお家の一大事なのに、今月のニュースリリースの大半が、新商品開発、製品の強化、表彰などの営業施策なのも、少し気になる。企業風土と信頼を取り戻して欲しい。


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