不適切な事象が発生したら、企業はステークホルダーや監督官庁から、適切な対応を求められます。本日は、適切な対応とはどのようなものか、考えてみます。
まず、第一報と全容解明です。数多くの顧客に影響がある場合、被害者が拡大する恐れがある場合などは、プレスリリースが必要になります。一般的に世間が求めているのは、判明状況、発覚の経緯、全容解明の時期、社内調査内容です。全容解明できていない場合は、その過程で、お伝えすべき事象が生じた場合は、速やかに再度プレスリリースを行う旨を宣言しておくことが必要です。
一方、社内には、できるだけ高い役職の方より、非常事態であることを通知して、関係部署には最優先で調査を指示し、本社部署が主導となり、他の部署にも協力要請しておくと良いです。こうすることで、社内に緊張感が走ります。大切なのは、いつもとは違うという通知です。
全容解明と並行して、発生原因の分析を行います。当事者、関係者へヒアリングを行い、発生した理由を掘り下げ、なぜその事象が起こったのかを丁寧に確認します。管理者には、うっすらと気配を感じていなかったのか、気づいたのに報告できなかったのか、仮に気配を感じた時に社内報告していれば、どうなっていたのか、もう一度平常時に戻ったら、未然防止や早期発見するには、何が必要なのか、そのような掘り下げを行い、自社の社風や組織の根底に流れる居心地の悪さや、上司へ相談するハードルの高さなどを確認すると、真因へ到達できると思います。
最後に、再発防止策の策定です。実は、この部分は発生原因分析の掘り下げが完了すれば、自ずとその対策は明らかになるので、貴社全体で実施する方法を考えれば良いことになります。例えば、顧客や関係者からの強い圧力に負けた不正の場合は、圧力を一人で受けたことが真因になるので、組織で対応できなかった原因を考えて、それに対する再発防止策を検討することが中心になります。
一番良くないのが、個人の資質の問題という発生原因です。そうであれば、個人の資質に頼る経営戦略を取っていることが原因となります。企業の価値が個人の資質に委ねられているということ自体が真因となります。
業界や企業により不適切な事象は様々ですが、業務フローに課題があるケース、社内の統制環境に課題がある場ケースが多いと思われます。保険会社の本社コンプライアンス部署で、不祥事の対応や再発防止策の策定を担当していた経験をもとに、社外の目線でご支援します。お客様から知り得た情報は、一切口外致しませんので、ご安心ください。



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