道路改良工事現場でクレーンから型枠が落ち、下請け作業員に接触した。クレーン作業員が119番通報したが、幹部社員が手配を取り止めた。被害者は脊髄損傷と右足骨折。後日、労基署から指摘を受けるまで、該社は事故を把握していなかったと報道された。(リンク)
建設会社の企業理念を脅かすリスクは、自然災害、需要変動、資材調達、工事遅延、操業中の事故や労働争議、政治、情報セキュリティ、下請け企業とのトラブルなどがある。特にダメージが大きいのは、法令違反とレピュテーション(評判)を伴う事案と思われる。
法令違反で容易に想像がつくのは、受注時の談合と手抜き工事。119番通報の手配を取り止める行為自体は、法令違反ではないが、その先を想像する力が、足りなかったかも知れない。
事故はゼロにはできない。その為、政府労災保険の加入が義務付けられ、事故が起こっても、従業員に対して保険で支払われることで、建設会社のダメージを最小限にできる。その代わり、当該保険を使わずに対応すると、労災事故の隠ぺいという法令違反に加えて、レピュテーションリスクも起こる。
結果的に法令違反やレピュテーションリスクになり得る事象を平時に洗い出しておき、そういう事象につき、幹部社員に腹落ちさせる、マニュアル化して教育するなど、コンプライアンス経営の実践には、対策が検討できる。他山の石とせず、我が事として考えておきたい。



コメント