新しい資本主義への移行

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今月末に、政府が総合経済対策を公表する予定です。職務範囲を明確にして専門性や能力を重視する「ジョブ型」雇用の普及を目指し、仕事の内容で賃金が決まる「職能給」の採用を促します。成長分野に転職を容易にするために、副業を認める企業名を公表して、転職を積極的に受け入れる企業への支援を強化します。新規起業の育成にも力を入れ、シリコンバレーへの留学を行うなど若手起業家の育成に努めます。国立大学は、少なくとも1大学1上場企業を目指す取組みを行います。

大企業は、これを受けて新しい資本主義に向けた態勢づくりを進めていくと思われますが、中小企業は、どのように進めていけば良いでしょうか。本日は、中小企業の移行対策について考えてみます。

まず、自社において、各従業員の職務範囲を明確に整理できているかを確認する必要があります。事業部ごとに定められた職務において、それがチーム業務なのか、個人業務なのかを仕分けします。チーム業務と個人業務が混在する場合には、両方に仕分けして職務に漏れがないように洗い出します。

次に、職務の専門性や能力を計測できる定量・定性の基準の有無を確認します。定性基準が無い場合には、企業理念に照らし求める姿を100とした場合の完成度を基準にするなど、成長ステップを策定します。

その後、各業務に関する職能給を大まかに算定します。経営者が重視していない職務が、はっきりとしてくる段階です。当該業務を職能給が低い従業員に任せずに、当該業務を廃止または大幅削減ができる工夫や仕組みを検討して実施する職務を新たに検討してください。それが難しい場合は、当該業務は経営にとって重要な職務ではないかと疑って、検討してみてください。

最後に、新たな事業を検討する職務を新設してください。全従業員に対し職務を与える以外に、職務割合を%で設定して、部分的に導入することも可能です。特にご注意いただきたいのは、政府が目指している取組みのすべてに対応が必要ではないということです。自社の規模や特性に応じて、基礎部分を策定して、創意工夫しながら目指していく方向へ進め続けることで良いと思われます。

副業を認めることは、必ずしも必須では、ありません。製造業やサービス業の中には、他社や他業界へ流出させてはならない技術やノウハウがあります。そこで、前述した職務の洗い出しの時に、従業員が副業を開始した際に、どうなるのか見当を付けてください。職能給についても、例えば30%が職能給、70%が既存の給与水準のように、段階的な導入を行うなどの工夫があると良いと思います。

新しい資本主義への移行の取組みは、政府も手探りな部分が多いはずです。働き方、時間の使い方、能力の発揮度合いの評価を変えていく訳ですから、その考え方や従業員が成長できるための教育制度や仕組み作りを合わせて行うことで、変化に合わせることができる従業員を増やしていきましょう。

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