最近、事実と異なる発言をしたテレビ出演者に対し、視聴者や一般人が処分を求める論調が強くなっていることに危惧しています。新種のハラスメントです。本日は、この事象について、考えてみます。
テレビ番組は、プロデューサーや脚本家が作ったシナリオに従い、出演者が定められた時間内に発言する仕組みです。事前打ち合わせを行い、番組の流れを確認します。生放送と言っても、進行は予め定められていて、いつ、誰が、どのようなコメントするかは、大まかに決まっています。
一方、処分というのは、社内規程などに明らかに違反した場合、本人が納得したうえで、規程通りに判断を下すことです。視聴者や一般人、SNS、政党などから指摘を受けて、判断を変えることがあってはならないはずです。
SNSが普及と共に、一般人が気軽にコメントできる仕組みが整いました。SNSが自分の考え方を伝えるツールであっても、他人の行為に対する措置まで求めるのは、いささか用途を拡大し過ぎていると思います。
コンプライアンスは社会の要請に応えることですが、要請に応えて社内処分しては、自社従業員を守れなくなります。社内処分は、社会の要請で決めるものではありません。
事実と異なる発言をした事象についてお詫びして訂正し、「当該従業員ならびにその上司に対し、再発防止指導を行い、弊社社内規程に則り対応いたします。社内処分につき、公表しないことについて、ご理解いただきたく存じます」とコメントすれば、十分に社会の要請に応えていると思います。



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