保険代理店さんの体制整備4

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保険契約はキャッシュレスが中心になり、保険料の直接領収を行う契約は、わずかになりました。しかし、保険料の費消や流用という事件は、少なからず発生しているようです。本日は、保険料の費消・流用対策について、考えてみます。

保険料の費消・流用が発生すると、代理店処分に加え、次年度手数料体系のポイントが下がり、規模の大きい代理店さんでは、年間手数料が数百万円も減ることがあります。また、年間表彰の対象外となり、名誉やステータスもなくなります。その割に、対策を講じている代理店さんは、多くはありません。年1回自己点検の際に確認する程度であれば、これを機に考えてみましょう。

一般的には、動機と機会があり、それを正当化できる環境が整うと不祥事が起こると言われています。従業員の経済環境、難しい苦情対応、自身の成績不振などの主観的な事象が動機を作ります。社内ならごまかせる、承認を得られるなどの客観的な環境が機会を作ります。誰かの為、この程度なら、1回だけならなど、主観的な心理要素が加わると正当化の要素を作ります。

それゆえ、動機、機会、正当化の3要素を作らない仕組みや環境を作ることが未然防止策になります。体制整備の取組みを行い、定期的に確認する仕組みを運用することで、リスクを最小限にします。各社の規模や特性により進め方や優先順位が異なりますが、まずは、いつ迄に仕組みを作り、運用を定着させるか決め、定着するまでに、次のステップの取組みを検討することをお薦めしています。

定期的に確認する仕組みとは、例えば以下のような確認を行うことです。「動機になりそうな心配事がないか、上司が確認しているか」「承認権限を持つ管理職が、安易な判定をしていないか」「1度くらいのイレギュラーを許容する風土がないか」

これ以外にも、契約者をそそのかして、現金をだまし取る手口があります。「特別なお客様向けの高い金利で運用する商品がある」「私に預けておくと3か月ごとに配当を還元する」などの口上です。在りもしない商品を説明するのですから、信頼関係のある優良なお客様がターゲットになってしまいます。

例えば、1年に1度、会社からハガキやメールを直接配信して、「貴方だけに特別良い話は、ありません。もし、そのような話を聞いた場合には、弊社担当を通さずに、直接会社へご連絡ください」などの趣旨を直接顧客へ伝えるなど、けん制対策も考えられます。

このように、社内外にけん制する仕組みを持つことが、不祥事を未然に防止する対策に通じます。この手の社内けん制の取組みは、自社内で策定することが難しいようです。そのような場合は、当センターへご相談ください。貴社の規模や特性、社風に合った対策を一緒に考えましょう。

「保険料の費消や流用は、刑法で定められた犯罪行為なので、決して行わないように徹底した」と言う対策が効果があると信じ込んでいると、大事件が起きてから慌てることになるかも知れません。

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