合併、買収、新規出店で規模を拡大したが、想定通りの事業収益が出ない、新しい企業風土が根付かない、方針通りに事業が進まないなど結果が伴わないことが多いと伺っています。本日は、規模の拡大に伴う課題について、コンプライアンスや内部統制の観点より、考えてみます。
そもそも規模の拡大の目的は何でしょうか。企業利益の拡大、お客様数の増加に伴う企業価値の向上、売上規模や業界シェアの拡大など、企業には色々な目論見があると思われます。
企業が永年存続するにあたり、企業理念を実現することで、企業の成長を促し、企業価値が高まると考えられています。企業理念を実現する為には、企業理念に共感できる従業員を増やすことが必要で、その結果、企業の成長を促し、多くのお客様に支持されて、企業価値が高まるという理屈になります。
それゆえ、合併、買収、新規出店を行うにあたり、事前に必要なことは企業理念の共有です。企業理念には、その企業の存在事由や事業活動の目的などが盛り込まれています。企業理念に共感して理解していれば、何か課題が生じても企業理念へ立ち返ることで、方向性の誤りが生じにくくなります。
空地地区へ新規出店したり、既存顧客を抱えている営業マンを吸収することは、一見して規模の拡大に繋がるように見えますが、企業理念に共感できる従業員を増やさないで規模だけを拡大しても、企業価値は高まらないということを肝に銘じておくべきです。
最近、中小企業において、社内で色々なイベントや表彰を行い、仲間意識を高めると共に企業理念に共感する取組みが進んでいます。イベントや表彰の目的は、あくまでも企業理念に対する理解促進です。自社の企業理念を伝えて理解を促すのは、経営者しかできない業務です。



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