保険代理店さんの体制整備5

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保険代理店さんの体制整備シリーズは、比較的人気があるようです。本日は、代理店従業員による保険金の不正請求事件について、考えてみます。

保険金の不正請求に関与すると、詐欺罪のおそれがあります。保険金不正請求は、保険会社を騙して保険金を奪ったり損害を与える行為で、あざむいて錯誤に陥れる行為も含みます。代理店従業員が、なぜ関与するのかについて考えてみます。

代理店従業員が保険金の不正請求に関与するケースには、①修理業者や顧客のそそのかされて協力者になる、②知人友人、顧客から頼まれて保険会社へのパイプ役になる、③自らもしくは親族などの懐を肥やす意図があるなどに区分できます。

①は、修理業者や顧客から甘い言葉で誘惑される、募集上の責任を押し付けられることがないように、保険事故の請求は、二人体制(バディ制度)とする対策があります。相談しやすいように、年次や経験の近いバディが望ましく、バディはコンプラ担当へ直相談できる仕組みがあれば、更に効果的です。

②は、強い要請を受けて、保険会社に誤った報告や虚偽申告をしないように、そのようなケースを幾つか具体的に題材にして、少人数の論議会を行う対策があります。論議で出た意見を記録して、全員へ配布します。①のバディを同じ論議チームに入れれば、バディ相談の模擬体験もできます。

③は、既に受け取った保険金の二重請求や偽装事故などを起こさないように、経済環境が悪化した人が二重請求や偽装事故を起こした事例を1 to 1ミーティングなどの対話で伝え、仮に同じ環境に置かれたら、どうするかというテーマで意見交換する対策があります。この対策のポイントは、必ず全員に実施し、話す側も自身の解決策や善後策を話せるように準備することです。

以前に不適正行為の3要素は「動機、機会、正当化」が揃った時であるとご説明しましたが、保険金の不正請求行為の場合は、お客様の事故に携わるという機会と、保険代理店としての行為という正当化の条件は、常に揃っていますので、動機に対する自主防御が最大の未然防止策となります。

「詐欺行為だから禁止」と指導するのは、行為の特性に対して的を得ていません。動機に対する自己防衛策には、起こり得る事象の分析が大切です。代理店さんの規模や特性に応じて、変えていくことが望ましいので、その辺りは、ご相談しながら、考えていくと良いと思います。

自社内に保険事故の支払い対象となる商品を修理する部門があるケースは、長くなりそうなので、次回に考えることにします。

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