30歳代の保育士3名が、園児にカッターナイフを見せて脅したり、足をつかんで宙づりにしたりするなど15の「虐待行為」を行っていました。内部告発した保育士に対し、園長が公言しないように依頼、全職員から誓約書を取り付けました。本日は、保育士の労務管理について、考えてみます。
記事によると、新型コロナの影響で気遣うことが増え、業務量も増えたことでストレスを感じていたことが、虐待行為に繋がったそうです。園長による保育士に対する労務管理体制が良くない可能性があります。
保育園を経営するにあたり、標準的な労務管理とは、労働契約の締結や各種保険の加入手続き、労働時間と休日の把握・管理、退職時の手続きなどです。加えて、保育士の育成、業務の改善取組み活動を通じた労務実態の把握と改善ですが、恐らく育成と改善の取組みに課題があったと思われます。
コロナ禍の影響で気遣うことが増えた、業務量も増えたという実態は、労働時間と休日の把握・管理だけでは、実態や現場の課題認識が見えてこないです。定期的に1対1の直接面談を行う、保育の現場に立ち会う、保育日誌を読むなどの行動で、管理者が保育士に近寄らねば、把握することは困難です。
一般的な保育園の規模が保育士10数名とすれば、園長一人で保育士全員の労務管理を行うことは可能です。園長に副業があれば、代わりに保育士の中に管理者を設置するなどの体制が必要となります。
加えて、万が一の事態に備えた訓練を行うことが、効果的です。同僚の保育士が不適切な保育活動を行ったことを発見した場合、報告する手段や内通方法について、実践的に使える状態、マニュアル化しておくと良いと思います。
そうしておけば、園長側も、そうした取組みを行えば、内通が入った際、口止めをしたり誓約書を書かせようとは、考えなくなります。定期的に避難訓練をしておけば、いざと言う時に行動できるというのが、コンプライアンス経営の考え方の一つです。今回は、残念ながら、園長の行動が誤りでした。
ただ、やってみたいと思う園長はいるものの、自分ひとりでは何から始めたらよいか分からず、協力者が必要なケースや、知恵袋役がいないと進められないというケースがあると思います。外部の相談役として、当センターは、ご相談を承ります。
同種同梱の事案として、デイサービス業者による高齢者に対する虐待も想像できますが、今のところ、介護施設以外では、大きな事件は発生していない模様です。デイサービスの業者だけ起きないとすれば、ベンチマークしてみることも大きなヒントになるかも知れません。体制づくりは、大切です。



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