公立中学生徒が、部活でいじめを受けて不登校になりました。両親が部活顧問に相談したが、7か月も対応してもらえませんでした。再度相談したところ、被害生徒が悪いと決めつけて、加害生徒の前で謝罪させられました。両親は校長に相談しましたが、教頭がこういう問題は50対50で落としどころを見つけるしかないと被害生徒にも責任があるような言い方をしました。被害生徒は、心的外傷後ストレス障害(PSTD)を発症し、転校しました。校長から連絡を受けた教育委員会は「重大事態」と認定して、概要を公表しました。被害者側は、不適切な対応により転校を余儀なくされたとして、損害賠償を求める訴えを起こしました。
この記事を見て、学校関係者の対応が、対応ミスの連鎖を起こしました。本日は、ハラスメントにおける初動の大切さについて、考えてみます。
まず、部活顧問が両親から相談を受けたら、マニュアルを確認して、初動対応を行います。いじめはハラスメントですから、加害者と被害者を決めるのではなく、ハラスメント行為を止めることが優先です。その為には、初動として、加害者と被害者を同じ環境下に置かないことが優先します。なぜなら、相談した両親が期待しているのは、加害行為が止まることだからです。
この場合、部活顧問は、加害生徒と被害生徒に、平等に接しなければならない職務を持っています。それゆえ、関係者に該当するので、自らで事実の判断をしては、いけません。マニュアルには、自らが関係者になり得る場合は、上司に相談することが、書かれているはずです。
次に、担任や校長が相談を受けた時、部活顧問では解決できない問題と認識したはずです。マニュアルには、その場合の対応は書かれていないでしょうから、すぐさま教育委員会へ報告を行い、加害生徒と被害生徒、加えて部活顧問を同じ環境下に置かない措置を講じるべきでした。
ハラスメントも不祥事も同じですが、初動では被害を止める措置を行う、事実を確認する、自分だけで善悪の判断をしないなど、マニュアルに書いておくべきです。初動を誤ると、次なる行為が連鎖発生し、関係者の人数が増加します。より高いポジションへ報告する方が、相対的に大きな問題にならずに終わる可能性が高いということも、覚えておくべきと思います。
こういう事件が報道される都度、自社のマニュアルを読み返し、自社で起こった場合に対応に誤りが生じないかを確認することも、コンプライアンス責任者の役割です。ハラスメント行為には、予行演習という考え方はありませんが、それを行う絶好の機会なのです。



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