社外公表の基準

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社外公表(ニュースリリース)については、自社基準がある企業もあれば、都度検討を行う企業もあります。本日は、私が考える社外公表の基準について、お話します。

事業の有効性や効率性、財務報告書の信頼性、法令の遵守、資産の保全のいずれかに影響を与える場合と、社外公表せずに、後から説明責任を求められる可能性がある場合は、社外公表は必要と思います。この基準は、内部統制の4つの目的と同じなので、基準の説明を求められても対応できます。

新事業や新商品の発表、新契約締結や業務提携、役員の異動などは、事業の有効性・効率性、財務報告書の信頼性に少なからず影響を与えます。社外公表をせずに業績が急激に上向けば、決算に影響ある情報を公表しなかった理由を求められるでしょう。

一般的には、不正や不適正、不祥事は、必ずしも社外公表するものではありません。一方で、社会から指摘を受けてから、説明することも容易ではありません。そこで、法令の遵守については、一部の法令に絞り、基準を定めておくと良いと思います。

例えば、法令の種類は、憲法・民法・商法・消費者契約法・会社法に加え、社会や顧客から説明を求められる事象を含むと定めます。民法は、損害賠償責任について定めているので、被害者から新たに損害賠償を求められる可能性があれば、社外公表が必要となります。

不正や不適正・不祥事が発覚した際、全容解明していれば、被害者への損害賠償は、金額以外は確定しています。全容が解明していなければ、被害者が増える可能性があるので、新たな被害者への損害賠償責任が発生し、説明責任を求められることから、事前に社外公表すると整理できます。

1事業部で発生した不正だから、社外公表しない企業があります。1事業所で製造した新商品だから、社外公表しない、などとは考えないはずですね。数で判断すると、顧客や被害者も数で判断することになり、誤った判断なります。これは、昨今の企業不祥事を見れば、明らかです。

企業内には、関係者の周囲の方々が意見することがあります。周囲の意見に振り回されずに済々と対応し、誠実な企業である為には、あらかじめ定めておくことが大切です。例外的に、基準と異なる対応を行う場合は、取締役会へ事前説明を行うとしておけば、社内における責任の所在まで明確になります。

自社に良い情報は積極的に社外公表したいが、そうでない情報はしたくないのが、誰しも本音です。社外公表の基準を定めて運用することが、誤った判断を排除して、内部統制機能を発揮すると思います。

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