先週の国会答弁を聞いて、行政文書には、正確性があるものと、正確性がないものがあることを知りました。本日は、文書による記録について、考えてみます。
私の理解では、行政文書には正確性があるもの、正確性がないものの2種類があります。正確性があるものは、上司や発言した関係者の承認を得ている文書、正確性がないものは、上司や関係者の承認を得ていない文書のようです。前者は記録、後者は推測です。後者には、会議の場の空気から読み込んだ内容や、上司は恐らくこう考えているだろうという忖度を含みます。
多くの企業において保管が必要なのは、記録です。国会答弁から学ぶべきは、保管文書において、社内外に説明責任を果たすのは記録ですから、記録を保管する為には、その責任者あるいは発言した関係者、参加者の承認を得るルールが必要です。
文書記録にも多くの種類があり、メールの場合は写し(CC)を入れて、写し先アドレスを印刷するルールなどが、考えられます。保管文書の記録ルールがあれば、通常の業務では、推測の文書は不要となりますので、実態は「部署長宛ての意見具申(参考意見)」に変わると思われます。
もう一つ学ぶべきは、行政文書には記録作成者の署名がないことです。官公庁では、記録作成者には責任を取らせない考え方のようです。一般の社会人であれば、自分が作成した文書やメールには署名をするのは当然であり、どこの企業でも行われています。官公庁の常識が、社会の非常識だった事例です。
自組織の常識が社会の非常識になっていると、不祥事リスクが発生しやすい傾向があるので、見直しが必要です。記録作成者が誤った文書を作成した場合、昇進や昇格などに影響する文化があれば、文化から見直すこととなる為、組織全体の合意形成が必要です。
行政文書と言う言葉は、組織内で回付されていることから、「正確性がある」という含みがあります。人が受ける誤解や思い込みのきっかけは、言葉の意味と実態が異なる場合に起こるということも、合わせて覚えておきたいものです。今回の場合、「行政文書」に正確性がないものが存在すること自体が、社会の常識と異なる、すなわちコンプライアンス上の問題があるのです。



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