スーパーゼネコンが建設中の高層複合ビルにおいて、鉄骨の精度不良と発注者への虚偽報告があったと報道がありました。地上部分の鉄骨を解体し、建て直すことになりました。本日は、品質不正が与える影響の大きさについて、改めて考えてみます。
今回は、発注者が現場を視察した際、不審な点に気付きました。これを発端に、施工不良と数値の改ざんが発覚し、建物の鉄骨部分80か所以上、コンクリートの床スラブで245か所の精度不良があったことから、解体して建て直すことになったそうです。
多くの作業工程が複雑に組み合わされた複合ビル建設工事の場合、一つの工程において発注者の定めた品質基準を満たしていないことが判明すると、全体の作業工程を見直さなければなりません。それゆえ、工事の各過程において、品質検査が行われています。
品質検査の中には、即結果が出ない項目もあり、品質基準を満たさないと判明した時点では、既に次の作業過程が始まっていて、工事を止めるのに躊躇してしまう可能性があります。その為、現場監督以外に現地で指揮を取らない建設責任者が最終判断する仕組みが機能しています。
今回の事象の発生原因は分かりませんが、品質が基準に満たないと分かった時点で作業を停止し、施主に状況を報告し、善後策を協議するのがスタンダードだとすれば、スタンダード通りに行動することで、鉄骨の精度不良だけで済んだ可能性があります。虚偽報告は、「二次災害」です。
品質やコンプライアンスを語る時、必ず問題になるのが「二次災害」です。法令違反や社内規程違反、委託契約違反、請負契約違反だけなら一次災害の範囲ですが、初動を誤ることで社会からの要請違反を問われて、二次災害へ発展するものです。
品質不正の対策を講じるにあたり、品質不良や不適正を発見する仕組みに加えて、発見した際の適切な行動までを仕組みにしておかないと、取組みとしては、十分でないです。二次災害は、企業としての信頼回復と言う代償がありますので、平時から肝に銘じておきましょう。



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