企業トップが最も知りたいことの一つが、自社の各事業における実態を把握することです。本日は、事業の実態の把握について、考えてみます。
把握とは、事業内において、品質を改善させるサイクルが回っていて、改善活動が機能しているかを確認することです。売上や利益、顧客対応、苦情などはデータによる進捗なので、実態の把握では、ありません。企業理念を持続的に達成するために必要な、品質向上の取組みの現状と課題認識について、管理職に説明を求めることで実態が把握できます。
企業理念は高いレベルの倫理や品質を求めていますので、説明が「現状は良好で、特段の課題認識はない」と回答できるケースは、少ないと思われます。管理職が課題認識と考えている事項を聞いて、現状の把握とは、どういう趣旨かを教え、課題認識を持つにはどんな観点や環境を備えれば良いかを意見交換することで、トップの関心がそこにあることに気付き、管理職の意識が変わります。
意外なことに、管理職は、品質向上の取組みが具体的にどのように行われているか、品質の実態レベルを把握する仕組みがあるか、仕組みが機能しているかを把握すべきことを怠っていることが多い傾向にあります。それに気づかせるだけでも、意見交換する意義があります。
現代の企業活動においては、管理職を教育していくことも企業トップの役割になりつつあります。ライオンの親が子を谷に突き落として這い上がって来させる育成方法から、お互いに頭で考えていることや感じていることなどを交換しつつ、トップの倫理観や戦略思想を学ばせる育成方法へ変えていくことで、持続的な成長が可能な文化になると思われます。
コンプライアンスは、そういう良い企業に根付いていくものだと考えています。綺麗ごとができないと、綺麗ごとを目指せないと、企業理念への到達はできないからです。



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