勤務時間の改ざん

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ファーストフード社のフランチャイズ企業において、店長が従業員の勤務時間を減らすなど、改ざんを繰り返していた行為が、報道されました。本日は、管理職による勤務時間の改ざんについて、考えてみます。

従業員には、勤務開始時間と終了時間を記録するすることが義務付けられています。管理職は、誤りがないかを点検したうえで承認します。それに基づいて、給与支払者や支払い担当部署が、給料や残業費が支払われる仕組みになっている企業が多いと思われます。

管理職が従業員の勤務時間に誤りがあることを発見し修正を行うことは、あり得る行為です。その場合、当該従業員に修正作業を行わせる、管理職が従業員の同意のもと修正入力を行うことになります。恐らく、マニュアルには、上記のような修正作業の手順が記載されていると思われます。

今回の行為のように、マニュアル通りの運用を行っていたものの、管理職が意図的に改ざんして本社へ報告した場合は、本社では見破ることは、できません。それゆえ、管理職しかできない業務については、定点観測、点検、監査などで、適正な体制を整備することが求められます。

少なくとも、異常値が感知できるルールや仕組みを持っておくと有効です。連月修正した場合、同一人物分に連続修正した場合、一定時間を超過した残業などを異常値と設定し、発生したら、給与支払い部署や監査部が、管理職と従業員へヒアリングや実務研修を行う等の対策を定めておくことが大切です。

また、対策を社内に公開することで、改ざんしたら調べられると思わせることから、けん制効果があります。実際に発生した場合は、修正理由や勤務実態を直接確認することで、社内では常識としていたルールが、実態にそぐわない、もしくは必ずしも適正でないなどの事実が判明することもあります。

異常値の中には、勤務時間の入力に慣れていない従業員に対して指導を行った、命令していない残業時間を削除したなど、修正を必要とする実態も見えてくることもあります。

この対策自体は、企業利益を生まず、売上向上にも繋がりませんが、管理職が不正に改ざんすれば、本社が見つけて従業員を守るという仕組みがあることで、従業員の精神的な安全性が高まります。加えて、内部通報制度のハードルを下げることにも繋がるなどの効果もあります。

企業全体としては、風土や環境整備などの効果の方が大きいことを認識しておくべきです。特に、従業員の労働時間が見えにくい業種においては、ことが起こる前に、検討しておくことをお薦めします。

今回は、フランチャイズ社で発生した行為なので、直接雇用でない点、日頃から業務が遠隔操作になりがちな職場だったかも知れません。そういうケースでも管理する仕組みを作っておくことが、大切なことだと改めて感じました。

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