金融商品取引法や会社法などで義務付けられた会社以外の企業においては、必ずしも社内監査を行う必要は、ありません。しかし、企業を取り巻く昨今の現状を踏まえると、義務でなくとも、社内監査の必要性は、高まっています。本日は、社内監査について、考えてみます。
社内監査を行う目的は、組織の透明性によって社会的な信用を高めること、従業員の業務実態や事業の業務プロセスが定めた通りに行われているかを確認することです。具体的には、リスクの軽減と不祥事の防止、業務の有効性・効率性の向上、経営目標の達成です。
リスクの軽減と不祥事の防止では、不正行為が行われるリスクの洗い出しと軽減策の確認を行い、不祥事を未然に防ぐ仕組みや早期に発見する仕組みについて、検証を行います。リスクには、自然災害、為替変動、他社で発生した事象なども含みます。
業務の有効性と効率性の向上では、マニュアル、社内ルールなど自社で定めたプロセスが、定めた通りに実施されているか、それを経営側が統制できているかという観点で確認します。加えて、役所や取引先とグリップした認可・認証や仕様書が、自社の業務プロセスと合っているかを確認します。
経営目標の達成では、経営理念、経営指標、方針、取組み、外部規格、システム管理、会計・財務、コンプライアンスなどの観点で、確認を行います。また、経営目標を阻害するリスクの管理状況についても、監査項目に入れることで、内部管理統制全般を見ることになります。
社内監査は、年間を通じて行いますが、年間計画に基づく定期監査に加えて、臨時監査や特定監査というカテゴリーを設けておくことも大切です。監査部門が、自社で発生している課題やそれに対する課題認識について、確実に把握するために必要だからです。
社内監査は、自社内の事業のプロセスや有効性を確認して、結果を経営者へ報告することにより、経営者がコンプライアンス経営を行うにあたり、必要なリスク認識や事業活動の実態を把握することに、役立ちます。
昨今は、対話型の社内監査を行う企業が増えているそうです。各事業部署が、事業の実態について、説明責任を果たすことができれば、組織の透明性が高まり、一般社会やステークホルダーからの信用を高めることに直結するからです。
社内監査は、摘発を目的にすると誤解されがちですが、真に恐ろしいのは、社内監査で発覚できずに、社外から指摘を受けたり、報道された場合に、一般社会やステークホルダーに対して内部統制が機能していなかったと説明せざるを得ないことです。誤解を受けないように、説明しながら進めましょう。



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