官公庁の局長が、民間の人事介入問題において、利害関係者と会食を行い、一部しか費用負担せず、手土産を受け取っていたことが発覚し、懲戒処分を受けました。利害関係者に対し、便宜供与の事実はなかったと説明しています。本日は、コンプライアンス研修の役割について、ご説明します。
国家公務員倫理規程では、現職に加えて異動後3年間は、許認可の相手方など利害関係者から金銭・物品の贈与や接待を受けることなどを禁止しています。今回は、この規程に違反したことが理由で処分を受けました。目的は、当該企業の人事介入ですから、便宜供与ではなく強要面談です。役所の説明は正しいと思われます。
違反と処分は、大きく3つあります。一つは法令違反であり、行政処分を受けます。二つ目が今回のような社内規程違反であり、社内規程に基づく懲戒処分等を受けます。最後は、社会規範に反する行為であり、社会からの制裁処分を受けます。
違反行為に至らない為に、概ねコンプライアンス研修を行います。違反の種類と違反した場合の処分を学ぶのが一般的です。大切なのは、法令違反は法令の目的を学ぶことです。通常は法令の第一条に目的が記載されています。社内規程は、企業の理念を学び直して事業の目的と擦り合わせます。社会規範は、具体的な発生事例を通じて、社会が違反とみなす根拠と、違反とみなされた場合の社会からの制裁を学ぶ必要があります。研修にこの要素が含まれていない場合には、適切ではないと思われます。
今回のように賢い官公庁の中でも局長クラスに指名される人でも、国家公務委員倫理規程を理解していないことは、一般的にはあり得ません。しかし、実務の際、規程を確かめる習慣や、規程に抵触しそうだと注意喚起する風土や文化がないと、いくら賢い人達でも起こします。
コンプライアンスは、賢い人ほど難しいトラブルを起こしやすいというのが、最近の傾向です。ご不安な経営者の皆様は、ぜひ弊社ホームページの「お問合せ」よりお問合せいただき、ご相談いただければと存じます。



コメント