競馬の騎手は、各競馬の開催期間中、スマホの使用を禁止されています。数名の若手騎手が不正使用の疑いがあり、調査した結果、騎乗停止処分を発表しました。一つ誤ると、公営ギャンブルによる八百長関与の可能性も生じることから、今回の件を踏まえて、自主的な管理から、全面使用禁止へ見直しを行うそうです。本日は、この問題について、考えてみます。
コンプライアンスの観点で考えると、JRAの進め方は、逆なのではないかと思われます。スマホを使用することで、関係者以外と連絡を取り、調教状態などの情報を流出させて、公正なギャンブルに不正行為による八百長が起こすことが、最大のリスクです。しかし、年々ネット環境は高度化しており、必ずしもスマホに頼らずとも、外部との接触が可能な環境にあります。厳しいルールで縛ると、その抜け道を考えるだけで、リスクに対する理解が深まりません。
それゆえ、対応すべきは、その旨を騎手や調教師など関係者全員へ正しく習得させ、ツールを問わず、馬と人の情報を流出させることが、守秘義務違反となり、八百長となれば法令違反、ならずともJRA規程違反となり、騎乗停止などの処分を受けること、加えて、社会からの制裁も受けることとなり、騎手や調教師の職を失う恐れが高いことについて、腹落ちするまで理解させることに尽きると思います。
従来は、リスクに対して可能性を排除する対策を講じてきた事象でも、もう一度、社会の変化を踏まえてリスクを向き合うことで、大きなリスクに発展させない対策へ変更していくことも、大切かと思われます。
例えば、騎手や調教師など関係者は、スマホやタブレットなどの電子機器を持ち込む際には、事前登録制とし、レース終了後に提出を義務付けて、閲覧記録や通話記録をJRAが確認する仕組みを作るなど、リスクと向き合うことで、構わないと思います。ただ、外部と連絡を取る際には、事の良し悪しが判断できない場合には、JRA相談窓口へ相談することも義務付けると良いでしょう。



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