保険モニタリングレポート

silver imac displaying line graph placed on desk

6月末に、金融庁が、2023年度保険モニタリングレポートを開示しました。本日は、本レポートのうち、幾つかの点について、考えてみます。読まれる方は、まず、FSAが掲載している概要ファイルに目を通し、興味あるパートのみ本文ファイルを読むと効率的です。

保険会社の財務の健全性には、問題が生じる傾向はありません。しかし、損保は過去10年間に亘り火災保険の保険引受利益がマイナス。水災保険料水準の見直しと共に、参考純率改定に依存した収益改善に止まっている会社と、独自の収益改善策まで実施する会社との二極化が進んでいる可能性があると記載しています。同一商品に赤字が連続すると、保険料水準や商品の見直しが進むおそれがあり、消費者にとって必ずしも良い方向に進むとは、限りません。

営業職員の管理態勢については、営業職員に生じるリスクの把握、リスクコントロールの整備・実施、モニタリングと不正の兆候把握時の対応を求めています。モニタリング対象を限定し過ぎ、不正を検知する項目が足りない、懲戒歴のある成績優秀職員に対する指導の実効性欠如、暗号試算等の金融商品の説明禁止の徹底不十分、キャッシュレス化取組みの遅れなどの不備があると指摘しています。また、それを監査する部門が、管理態勢の実効性の確認や検証と改善提案を行い、より高度な管理態勢を構築することを求めています。

代理店の管理態勢については、サイバーセキュリティに関して、部署や規程の整備、コンテンジェンシープランの策定など更なる取組みを求めています。非対面募集を希望する顧客が増えてきたことから、非対面募集の環境整備を進めていると記載しています。まだ実施率は低いが、非対面募集のルールが各社により異なることから、統一を求める声があったと記載しています。

トピックスとしては、損保代理店の統廃合について、代理店から懸念の声があり、一方的にならないように丁寧に対応を行うよう促したと記載しています。また、公的保険を踏まえた保険募集については、使用ツールの比率を記載しており、顧客属性に応じた説明が困難で苦労していると記載しています。

保険代理店さんは、以上の各ポイントについて、自社の取組みが実施されているか、実効性があるか、検証しているか、改善に向けた取組みがあるかなどの点について、考えてみることをご推奨します。特に、非対面募集については、損保は電話募集からの切替、生保は店舗複数回来店からの切替など、新たな創意工夫や取組みの進歩が求められていると感じました。

弊社では、このような確認・検証・改善・取組などの管理態勢の整備に関するご相談も承っております。所属保険会社から、代理店合併や統合の強い要請に対するご相談も承ります。ホームページのお問合せから、ご連絡いただき、メールでやり取りしながら、ご相談の要否を判断下さい。お待ちしております。

コメント