損害保険会社の責任

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中古車販売店における修理費用の水増しによる保険金詐取事件にて、お客様が加入している自動車保険の保険会社に対しても、不信感が強まっている模様です。本日は、損害保険会社の責任について、考えてみます。

当該中古車販売店と代理店委託契約を締結してない損害保険会社に加入しているお客様は、修理費用の水増しが行われた結果、修理費用を多く支払っていた場合で、かつ、水増しがなかった場合に、保険を使わずに自費で修理していれば、割引率が下がらなかったはずです。

水増し分と自費支払い可否について確認し、自費で支払う方が有利であり、かつ自費で支払うならば、水増し分を保険会社へ返還させて、保険事故を取り消すことが可能です。但し、クルマの被害以外にも保険を使った場合は、保険を使わずに保険金合計金額を自費で支払う場合に、割引率に影響します。

一方、代理店委託契約を締結している損害保険会社に加入しているお客様で、保険事故発生時に、加入保険会社により入庫先を当該中古車販売店へ誘導されていた場合は、慎重に考える必要があります。「車両の搬入から、修理、保険金の支払いまでスムーズに行う業者であり、弊社の最優秀代理店を紹介します。」などと事故の受付窓口で誘導した場合は、安心と安全を提供することを理念に掲げた保険会社を信頼して入庫先を決めたことを考えると、道義的な責任だけとは思えません。

民法の損害賠償責任では、被害者が、被害額や被害事実を証明する必要があります。しかし、当該中古車販売店へ出向していた保険会社の社員ですら、不正に気付かなかったのに、一般のお客様が、保険会社から推奨された業者を疑うだけの見識や知識を持たないのは当然です。

それゆえ、少なくとも事故に遭った車両の修理業者を誘導されたお客様に対しては、社会規範に照らして考えると、謝罪に加えて、何らかの対応が、求められる気がします。なぜなら、損害保険会社から入庫の推奨や誘導を受けていなければ、本件の被害者になり得なかったからです。

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