観客がハラスメント

people at concert

海外アーティストが、国内イベント中に観客から胸や肩を触られる事件がありました。ハラスメントは、受けた人の感じ方で推認が決まりますから、許されることではありません。本日は、イベントにおけるアーティストへの対応について、考えてみます。

動画を見ると、アーティストは、2メートルの高さのステージ上で演奏中、ステージから降りて、数メートル離れた鉄製の柵で囲われた立見席へ行きました。ステージを盛り上げる為に、観客席に直接アピールしたかったと推察できます。

鉄製の柵には、アーティスト側から登る階段があり、アーティストは地上から数十センチ高いところから、観客とのふれあいを求めに行きました。正確にお伝えすると、観客が触れてはならないが、観客との触れ合いを求めていました。

観客がアーティストに近寄った訳でなく、触りに行った訳でもありません。アーティストが所定のステージから降りて、握手や手を触れることが可能な距離に来ました。だからと言って、胸を触って良い訳はありませんし、痴漢行為と取られても仕方がないと思います。

この事件で良くないのは、プロモーターです。通常、アーティストがステージを降りて、観客席に近寄る場合には、セキュリティが両側を囲み、守ることになっています。セキュリティは、アーティストと共に観客も守る立場にあります。動画で見る限り、触られた場面に、セキュリティがいませんでした。

外国人タレントが来日してライブを行う際には、アーティストの動線は、あらかじめ定められていて、それ以外の動線に至った時は、モニターを通じて本人へ注意したり、セキュリティが守るなどの危機管理対応を行うのが、通例です。また、開演前には、音声と文面にて繰り返し注意事項を伝えます。

今回、驚いたのは、プロモーターが、アーティストの身体に触れた観客を特定しないまま、犯人として警察へ告発したことです。自社のセキュリティに不備がなく、アーティストを観客から守る責務を果たしていれば理解できますが、動画を見る限り、上記のとおりです。

アクシデントや不適正な事象には、発生した要因があります。コンプライアンスや企業のリスク管理の観点では、要因に至る経緯を確認することで、再発防止策を実施します。
今回の場合、再発防止策は、以下の3点では、ないでしょうか。
① アーティストは予定外の行動をしない、動線を外れたら、至急、動線へ戻るよう指示する 
② セキュリティ担当は、ステージ内外問わず、アーティストと観客の安全確保を最優先する 
③ アーティストが観客席に近づいても、触れることがないように、事前に観客へ注意喚起する

一般的に、著名人が一般人と直接触れ合う機会がある時は、必ず傍にセキュリティがいて、著名人の安全を確保しています。アカデミー賞、MLBオールスターゲーム、来日したアーティスト、皇室行事などを見れば、明らかです。リスク管理上は、こうしたセキュリティが必要と思われます。

正解を出すつもりはありませんが、文面や写真で見た人と、画像を見た人では、感じ方が異なる事象でした。数多くのライブへ行く私には、他人事ではなく、アーティストが自分の方に近づいてきても、安易に握手を求めようとせず、誤解されないよう、気を付けたいと思います。

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