芸能事務所の創設者による自社タレントへの性加害疑惑について、外部専門家による再発防止特別チームが会見を行い、調査報告書において、性加害を認定した旨、説明しました。本日は、今後の対応について、各社の立場で考えてみます。
再発防止策の一つとして、現社長の退任を提言しました。現社長は、記者会見は行わず、ビデオによる説明のみの逃げ腰対応をしていますから、退任は「渡りに船」です。社会への説明責任を果たし、謝罪や賠償などの事後対応の目途が立った後に退任すれば、社会は、不祥事の責任を取ったとみなします。叔父の不始末の後始末は気の毒な気もしますが、100%保有する株主ですから、当然です。
調査報告書受領後の対応が、企業の存続を決めるうえで、大切です。報告書にて、性加害と認定した人だけを対象に、謝罪と賠償を行うのか、調査時には言えなかった人には自社で確認を行い、性加害行為の有無を確認したうえで、謝罪と賠償を行うかは、自浄作用の有無、真摯な対応、再発防止策の実効性、企業の存続という観点で、大きく違いがあります。
また、社長の後任者を外部から選任し、会社の変革を合言葉にして乗り込んだところで、永年に亘り、エンターテイメント業界を牛耳ってきた実務者たちが、理解、納得して従う訳は、ありません。なぜなら、実務者たちは、性加害行為を見て見ぬふりしたと言う社会規範に反する行為をしてきたにも関わらず、何のお咎めもなく、済々と業務にまい進し、利益を得ているからです。
マスコミやCMスポンサー企業は、今後の対応を求められます。今回の報告を受けて、迅速で的確な対応と、再発防止を求めることだけで、本当に良いのでしょうか。官公庁は、社会を揺るがす不祥事があれば、通常、1年間、または無期限の指名停止処分を行います。これが基準となり、マスコミやスポンサー企業は、自社株主の顔色と、社会の常識を逸脱しない範囲で、対応を決めることになります。
仮に、今後もタレントを使い続けるなら、調査報告書に対する自社の見解と理由を説明する必要があります。なぜなら、社会は、この芸能事務所の利益になる行為を良しとしないからです。未成年の息子を持つ母親が、この事務所に子供を入れようと思わなければ、新しいタレントは入らず、自ずと企業の存続は難しくなります。この辺りが、判断の基準になるでしょう。
一方で、芸能事務所との取引停止を行うと、タレントに罪はないと言う観点で、非難を受ける可能性があります。しかし、他の事務所へ移籍後に、当該タレントを継続して使い続けることで、説明できるでしょう。企業の代表者が犯した不祥事には厳しく接し、タレント個人は守るという考え方であれば、社会規範に反することはなく、企業イメージも守ることになります。



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