情報流出と内部通報

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不祥事や不正行為が数多く発覚した中古車販売店において、従業員より社外に情報流出を防ぐ目的で、秘密保持に関する誓約書を締結する動きがある旨、報道がありました。本日は、情報流出と内部通報の関係について、考えてみます。

一般的に情報流出は、関係する人や企業へ、経営情報が漏れた結果、事業利益に対してマイナスになることを指します。一方で、内部通報は、法令違反、社内規程違反、社会規範に反する行為などの通報を促す制度で、企業の自浄作用を促します。

この二つが相容れない関係になるのは、企業内に向けて発信した情報が、法令違反、社内規程違反、社会規範に反する行為に該当する場合です。企業側は、常に良い企業でなければならず、従業員が理解して腹落ちしない場合は、発信した情報が流出する恐れがあることを認識しなければ、なりません。

当該中古車販売店は、不祥事や多くの不正行為について追加調査中で、再発防止策の実施、その履行確認にも至っていない現状であり、再建途上です。従業員は、苦しめられてきた過去のトラウマがあるゆえ、経営に対し、これ以上良くない傾向がないか、監視しています。

社会の関心も高く、一般消費者を顧客対象とするビジネスモデルだけに、本当に当該企業が再建できるか、企業市民として存続が可能かを見極めています。それゆえ、企業の自浄作用である内部通報制度の活用推進に対する情報は歓迎しますが、今回のように逆行する情報には、懸念を示します。

企業経営者は、常に良い人、良い企業でいないと、社会規範やコンプライアンス上において、存続できないということが、常識になりつつあります。コンプライアンス経営は、この常識論のうえに成り立っています。

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