広告契約解除

man standing in front of people sitting on red chairs

広告契約を締結している芸能事務所が会見を開き、創業者(故人)による性加害行為を認めました。大手損害保険会社が、締結している広告契約の解除を検討している旨、報道がありました。本日は、広告契約解除の理由について、ご説明します。

広告契約解除の根拠は、該社のホームページにおける以下の記載にあります。
差別・ハラスメントの禁止:セクシュアル・ハラスメント、パワーハラスメントを含め、身体的、精神的であることを問わず、いかなる形態のハラスメントも認めません。(中略)
〇〇グループは、ビジネスパートナーに対して、本方針の支持と実践を期待し、協働して人権尊重を推進することを目指します。

また、報道機関からの取材には、以下の回答を行っています。
人権尊重の観点で、いかなる形態のハラスメントも認めておりません。ビジネスパートナーの皆様に対しても、そうした取り組みへのご理解とご協力をお願いしております。当社はご指摘の事務所との契約がありますが、人権尊重の観点から契約は更新しないこととし、契約の解除も検討しています。

一方、タレントに罪はないことを根拠に、広告契約や事業への参加を継続すると公表している企業もあります。人権尊重の程度は、各社の判断によりますが、コンプライアンス経営の観点では、自社がホームページで宣言している内容に忠実に従い、判断することになります。この判断を誤ると、当該担当役員は、善管注意義務違反や忠実義務違反に抵触するおそれがあるからです。

人権尊重に関する企業の方針は、企業の価値を決める大切な判断です。その時の時勢に流されることなく、自社が定めた憲章やルールに従い、済々と判断することで、株主やステークホルダーに対して、説明責任を果たすことができます。自社で公表していない、定めがない企業においては、人権尊重やハラスメントの禁止の趣旨を踏まえ、元代表者による性加害行為があったと認めたビジネスパートナーを許容するかを自社の基準にて判断することで構わないと思います。

仮に、当該タレントが当該芸能事務所を離れ、別の適正な事務所に転籍した場合には、再度広告契約の検討をして欲しいと思います。それが、タレントには罪はないという趣旨だと思います。

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