損害保険会社が見直すべき点

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保険金不正請求の疑いが解明していない中、大手中古車販売店に対する事故車両の入庫誘導を再開したことにつき、損害保険会社のトップが経営責任を取り、辞任しました。一代理店への対応を契機に、トップが引責辞任するのは、異常であり、大事件です。これは、個社だけの課題ではないと思われます。本日は、損害保険会社が、代理店との関係につき、見直すべき点について、考えてみました。

1.事故車両入庫誘導取組みの見直し
 お客様が事故に遭い、保険会社へ第一報を入れた際、自動車修理業を営む代理店への入庫を誘導する取組みです。誘導する代理店は、決して品質の高い代理店とは限らず、修理単価も高く、不正請求の温床になりやすいです。実際に、契約者を不安にさせたことから、廃止すべきです。代理店の本業に対する協力度合で競争しても、当該代理店さんが喜ぶだけで、お客様へ安心や安全を提供できません。

2.社員の出向制度の見直し
 保険営業推進や内部統制などの人材がいない、もしくは育成できないことから、代理店さんからのご要望により、社員を出向させる制度です。片道切符の出向転籍と、往復切符の一時出向があります。この制度自体は、お客様と代理店さんの双方にとって有益です。今回の事件を踏まえて、不正行為の早期発見の目的で、代理店内部で起こっている異常事象について、保険会社へ直接通報させる役割を追加すべきと思われます。

3.代理店表彰制度の見直し
 代理店表彰基準は、挙績額、増収額、増収率、新規件数、損害率などの数値に加えて、会社が推奨する取組みを基礎評価と定めている会社が多いようです。しかし、募集人数による区分がないことから、募集人が増やえると入賞しやすくなり、その結果、募集人増員が入賞要件になり得ます。募集人を増やすことが、必ずしも優秀な代理店の定義ではないので、見直しが必要です。

4.募集人以外の教育制度の見直し
 自動車修理業や住宅修理業を本業で営む多くの代理店さんは、事業活動全般に対する従業員教育はできても、保険に特化した教育制度は、ありません。修理業を担当する従業員向けに、保険会社が保険事故の流れ、保険会社との接し方などにつき教育を行うことで、不正請求防止に努めることが、できないでしょうか。

保険会社のトップの引責辞任というショッキングな事象を踏まえて、日頃から違和感を感じていることにつき、文字にしてみました。保険会社社員だけに頼らずに、デジタル力を活用する必要性を感じます。

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