社長のセクハラ

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業界トップ企業の社長が、飲酒して飲食店従業員に対してセクハラ行為をしたことが原因で、解任された旨、報道がありました。同企業は、前社長もセクハラ行為で退任しています。本日は、社長のセクハラについて、考えてみます。

昔は、ところ構わず、セクハラ行為をしていた社長がいましたが、地位と権力があり、お金を支払う側なら、常識を逸脱しても、公には非難を受けませんでした。部下や取引先からは陰口を叩かれていましたが、本人の耳には届かず、改心には至りませんでした。しかし、社長にとって、古き良き時代は終わりました。

現在は、企業としてハラスメントを決して許さない時代です。企業では、役員・従業員に対し、ハラスメント教育を実施しています。ハラスメントを受けた被害者が社内外の通報窓口へ通報できる環境と、それを促す風土作りにも取り組んでいます。言い換えれば、古い体質を改め、企業風土を変える取組みをしています。

企業風土を変えるには、社長が変わることが第一歩です。多くの企業は、社長の顔色を見て役員が気付きます。役員が社長の真似をして変わっていきます。役員の顔色を見て、管理職が変わっていきます。管理職が変わると、初めて従業員に伝わり、感応度の高い従業員は、自分も変えていく必要に気付きます。言い回しは良くないかも知れませんが、企業風土を変えるには、この方法しか、ありません。

それゆえ、今回のように、前社長の退任理由を知っていながら、新社長自らが変わることができない場合には、企業風土は変わる兆しがありません。報道インタビューにおいても、新社長は、酒に酔ったことが原因と言い、誤解したままでした。前社長は事後に気付いて自ら退任しましたが、新社長は取締役会にて解任されています。状況は、ピンチです。

コンプライアンス経営とは、社会の要請に応え続けていくことです。「ハラスメントを許容しない」という社会からの要請に対し、社長自らが応える取組みをしなかったことが、今回の発生原因です。

零細企業ですら、3代目社長は会社を潰すと言われています。次の社長が、再度ハラスメント事件を起こさないように祈ります。社長が変わらねば、役員は変わらない。役員が変わっても、管理職と従業員は一部しか変わらない。多くの従業員を変えるまで到達し、継続することにより、初めて企業風土が変わる兆しが見えてきます。

この事件の報道を聞いて、心配な企業は、社長と役員に対して、コンプライアンスとハラスメントの教育を継続して行い、自らが襟を正さないと、管理職には響かないことを理解させることから、始めて下さい。もし、社長個人の問題として収めてしまうと、必ず次にも同じことが起こります。気を付けましょう。

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