保険業法の目的は、健全で適切な運営、募集の公正の確保により、契約者等の保護を図ることです。「適切な」という言葉は、時代と共に変わる傾向があります。本日は、コロナ禍以降の環境変化に伴う「適切な運営」について、考えてみます。
適切な業務運営というのは、保険業法で定められた義務や規定を果たすことを求めています。そのうえで、契約者や市場を起点にして、安心と安全を提供し続ける運用を指しています。前年契約と同じ内容を前提とする手続きや、契約者の家族環境の確認のみ行う手続き、商談開始時から契約締結時までの意向の変化の記録していない手続きは、含まれません。
弊社では、適切な業務運営は、情報提供、意向把握確認、体制整備の3つの義務を果たすことを最低限のレベルであるとご説明しています。具体的には、①契約概要と注意喚起情報を全てのお客様へ説明する②契約に至るまでの意向の経緯を記録する③全ての募集人が同じ仕組みや手法で説明することが必須です。①は情報提供義務、②は意向把握確認義務、③は体制整備義務であり、いずれも保険業法で定められた義務です。
例えば、更新契約の際は、お客様向けメールに、確認して欲しい内容を記載したファイルを添付、もしくはメール本文中にリンクを貼り、必要な情報をリンク先に掲載していることを伝える手法があります。当該ファイルやリンクを開いてもらう為の工夫をすることも、適切な運営の証になります。また、契約者とのやり取りの全てを記録する取組みも必須です。これを全員で同じ仕組みや手法とすることを代理店内のスタンダードとする必要があります。これらの取組みを継続していれば、自ずと適切な業務運営になります。
その為には、電話や郵送と言う募集方式は「オンライン面談を行い、システム手続きを活用する方式」へ変えていくなど工夫が必要です。なぜなら、上記に記載した保険業法の義務を果たすには、時間と直接面談が必要であり、一方で全てのお客様に直接面談を行うことは現実的でないからです。オンライン面談なら、在宅勤務中や駅に設置している一人会議室などでも可能です。システム手続きは、電話や郵送に比較して、お客様の時間感覚が緩いことから、1時間の面談も容易です。
更に申し上げれば「補償内容の説明だけ」では、足りません。補償内容の前提となる保険事故の対象事象に加えて、被害を復旧するシナリオまで説明することで、ビジネスモデルが少しずつ変わっていきます。復旧するシナリオとは、保険以外のソリューション、例えば建物修理業者の選定、家財の調達、入退院期間の生活環境の整備、保険会社が提供可能な各種サービスに関する説明です。
適切な業務運営のレベルや範囲は、日々進化しています。今までと同じ方式では、時代から後れを取ることになります。保険会社に頼らず、何が必要か、適切な業務運営の為になにをすべきかなどについて、経営者は情報収集して、体制を見直すよう尽力すべきではないでしょうか。



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