連日、政党の裏金問題が報道されています。国会議員が、問題の本質を見抜く目を持っていないことに加え、自分たちの常識が世間の非常識になっている事象について、把握できていません。別世界の人のように思えます。本日は、コンプライアンス経営の観点で、考えてみます。
政治資金規正法で定めている政治資金につき、パーティー券購入費用の一部を記載せず、地方議員への陣中見舞い金など「政治活動の一部」へ使うなど使途不明金扱いにして、それを当該国会議員は知らないうちに、会計責任者だけで使っていた事件です。
第一の問題点としては、パーティー券購入費用の一部が派閥から還元される仕組みについて、統制できないことです。企業経営者が、資金管理や使途を財務部門任せにして、監査や決算時にも、気付かない状態は、経営の非常識です。
次に、入金経緯が明らかになっていない資金について、「政治活動の一部」に使用したことが、国会議員、経営者、国民としても、非常識です。マネー・ローンダリングを疑われても仕方がない事態です。
三つ目は、政治資金でないと会計処理をしたのにも関わらず、議員個人の収入に入れずに、所得税を逃れていることが、非常識です。脱税疑いとなる金額であり、罪に問われなければならない事象ですが、国税庁は問題にしていません。これも世間の非常識です。
このように、世間から見て非常識と思われる行為を定期的に洗い出し、社会の認識とのギャップを小さくしていく取組みこそ、コンプライアンス経営の原点です。自社の常識が、世間の非常識となっていないかという観点は、国会議員、経営者、管理者が持つべき感性だと思います。
こうやって考えると、①国会議員が資金管理ができていない、②会計責任者がモラルに欠ける、③政治資金規正法に脱法行為が可能な抜け道が複数ある、この3つが発生原因であることが導かれます。



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