保険会社や保険代理店さんにおいて、お客様本位、お客様起点という言葉を多く聞きます。本日は、お客様本位の趣旨について、外部の立場で、考えてみます。
金融庁は、お客様本位の業務運営に関する原則を公表しています。
方針の策定・公表(含む定期的な見直し)、顧客の最善の利益の追求、利益相反の適切な管理、手数料等の明確化、重要な情報の分かりやすい提供、顧客に相応しい商品・サービスの提供、従業員に対する適切な動機付けの枠組みやガバナンス体制の整備
上記に沿って考えると、各種法令や規則に基づき、提供する、重要な情報をお客様が理解するまで説明する、お客様に相応しい商品・サービスを導き出すまで対話する、保険事故の際に適切な対応を行い、保険金の支払いまで支援する、事業活動をけん制する制度を作り、不適切な事象が起きにくい仕組みを運用するなどと読み取れます。
その為には、募集時、契約締結時、保険事故受付時における環境を整えることが必要になるはずです。保険会社、保険代理店ごとに一律ではなく、事業体や体制に合わせて定めて整えることが、趣旨に適っています。
例えば、保険代理店では、募集時や契約締結時には、重要な情報をお客様が理解するまで丁寧に説明して、お客様に相応しい商品・サービスを聞き出す仕組みや手法について、自社で定めて全員で徹底していく取組みを行うことです。情報提供義務と意向把握確認義務を満たすレベルです。
取組みに個々の差が生じさせない為に、デジタル化ツールを用いることで、差が生じにくい環境を作ることが、DX時代ではポイントになります。保険会社作成のツールを使えば、自社によるメンテナンスが不要となり、継続性に課題も少ないことから、一般的には推奨しています。
また、保険事故の際に適切な対応を行うには、できるだけ早く保険会社の事故受付センターへお客様を直接繋ぐことで、早期対応を可能とし、保険金の早期支払いを促し、顧客に相応しいサービスを提供することに繋がります。
こうした取組みは、定着するには時間を要します。取組み直後から自社でモニタリングを行い、不足や不十分があれば、教育を行って改善を促さないと、取組みの成果が出ないばかりか、PDCAが回らなくなり、結果的に取組みの継続性が損なわれます。
お客様本位は、最低限として法令に抵触しないだけの運用をしていれば構わないと思いがちです。ルールやマニュアルに沿って運営実態はどうか、お客様からどのように思われているか、モニタリングやお客様の声にて把握し、改善や品質向上に役立てていくことで、初めて成り立つのではないかと思います。



コメント