小中高校で発生した死亡事故の7割が国に報告されていない旨、報道がありました。文科省は今年度内にも指針を改定し、事故の報告と調査の徹底を図るそうですが、本質的な解決法でしょうか。本日は、未報告の課題について、考えてみます。
小中高校で死亡事故が発生、または重大事件が発生した場合には、まず校長へ報告し、校長の判断により、地区の教育委員会へ報告します。次に、教育委員会の責任者の判断により、都道府県へ報告します。都道府県の担当者の判断により、文科省へ報告します。これだけ判断する人が多いと、全員が必ずしも適切な判断をするとは限りません。
小中高校で死亡事故が発生したら、校内報告書を記載します。その際、宛先は校長・教頭、写しは文科省」すれば、解決しそうです。報告書がペーパーであれば、文科省のファクシミリ番号とファクシミリが壊れた事態を想定して電話番号を記載します。それでも、色々と理由を考えて、報告しない恐れがあります。その対策は、罰則規定の強化よりも、コンプライアンス教育に尽きます。
校長などが、自分で判断するから、未報告事件が起こるのです。報告しないで解決できると考え、その結果、社会から非常識を問われ、最悪の場合には解雇などの処分を受けます。解決できるかどうかは、関係ないということを幹部職員に理解させることが大切です。今の時代は、人の口に戸は立てられず、複数の監視カメラで撮られ、SNSに投稿されることもあります。
ペーパーレスの時代ですから、オンライン上にある報告書を送信することで、足ります。事件は全て速報ですから、詳細不明でも構いません。報告書定型フォームに記入して「校長へ報告」というボタンを押下すれば、自動的に文科省へ写しが入る仕組みにしておけば、課題は解決します。
システムを使う解決法は、人の判断により結論が異なることもなく、ルールを統一する場合には、特に有効です。判断する人は、人事異動で変わるので、都度、教育を徹底するよりシステムの仕組みを使う方が、コスト、結果の両面からメリットがあるからです。
色々なご意見があるとは思いますが、学校で発生した死亡事故について、文科省へ報告するのは至極当然で、社会の常識です。校長・教頭、教育委員会、自治体が、報告を阻害するのなら、その問題を解決する方法を考えるべきではないかと思う次第です。
非常時には、「発生、発見直後に行動する」「大きな声を上げる」「できるだけ多くの組織に共有する」というのが、大切なポイントなのは、どの業界にも共通と思います。



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