不適切な事象の対応については、事象を発見したら、まず止血すること、次に事実解明を行いつつ、他にも同様な事象がないかを調査することが大切である旨、ご説明しました。本日は、その後の対応について、考えてみます。
次は、お客様や取引先に対し、被害が生じていないか、お客様に対して個別に説明が必要か否かを考えます。その際、被害者が特定できない、被害額が大きいことが予想されるなど、ニュースリリースの必要性についても検討すべきでしょう。
ニュースリリースが遅いと非難を受けることがあります。しかし、あくまでも被害者やお客様へのご連絡が最優先であり、報道はその次で構いません。迷った際は、経営理念に照らして優先順位を決めることをお勧めします。
並行して進めるべきは、不適切な事象に関与した従業員、事業担当役員などへのヒアリングです。その事象に至った経緯、事象を容認した周囲の環境、業務の承認プロセスの内容などにつき、従業員の心理に寄り添いながら、確認します。心理的安定性を確保しながらヒアリングすることがポイントです。
その際、自社内で発覚した場合には、その詳細な経緯を時系列に並べて確認します。これは、次に別の不適切な事象が起きた場合に、経営まで報告するプロセスが有効に機能するかを確認する趣旨です。お客様からのご連絡など外部からの通知で発覚した場合には、自社内で発見できなかった理由をヒアリングしておきます。これは、再発防止策を検討する際に役立ちます。
上記の手順で、事象の真相と心理にたどり着ければ、発生した原因が明確になります。初めから原因を報告させると、真相や心理とかけ離れた報告になりますので、ご注意ください。



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