スマートグラスでカンニング

happy employee tossing papers in air after getting paperwork done

私立大学の入学試験で、受験生がスマートグラスで設問を撮影し、SNSで当該科目が得意な人に報酬を約束し、回答を依頼しました。偽計業務妨害容疑で書類送検されました。本日は、本件について、考えてみます。

カンニングがルール違反であることは、社会の常識です。受験生が、それを知らない訳は、ありません。不正行為に至るにはプロセスがあり、不正のトライアングルと呼ばれています。

不正のトライアングルとは、動機、機会、正当化の3つの要素が揃った時に、人は不正を犯すそうです。今回の場合、国立大学に合格できず、私立大学に入れないと浪人する、または浪人できない事情という動機があると、推察できます。

機会とは、試験中に不正に正解を得ることです。スマートグラスとSNSを通じた正解を得る技術の両方が揃うことにより、機会が充足されます。ここまでは、一般的に考え得ることであり、倫理観があれば実行することは、ありません。

今回は、3つ目の正当化の要件も満たしたと思われます。正当化とは、一回だけ、誰かの為、この程度は構わないという考え方です。この学校・学部だけ、両親の喜ぶ顔が見たい為、数問だけなら影響ないと、頭の中で正当化したことで、実行しました。

コンプライアンス担当部署としては、不正のトライアングルを充足させないよう、平時の教育が必要です。教育すべきは、その行為の結果、最悪の事態が起こったら、どうなるのかを考えさせることです。

試験中に見つかり受験できない、合格後に発覚して入学取消を受けることが、最悪の事態です。他校の合格も取消となり、以降は大学受験ができなくなります。1校に対する行為が、進学の機会を奪うことまで、教育すべきです。偽計業務妨害を覚える必要はありませんが、罪に問われて報道されると教えると良いと思います。

更に、家族も非難を受けて、職場や地位を失うことにも繋がりかねません。今まで培った信頼が一瞬でなくなり、孤独な人生が始まります。恐ろしいのは法令違反による裁きでなく、社会からのシェアアウトなのです。

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