内部統制力2

group of people standing inside room

内部統制力が弱くなった組織に対して、どのような解決策が考えられるでしょうか。その原因と課題認識を紐解き、解決策を考えてみます。

前回の投稿でご説明したとおり、企業内の組織が大きくなり、複線マネジメントを導入したことで、責任の所在が不明確になり、内部統制力が弱くなりました。マネージャーに期待する姿と現状との間のギャップに、経営者が気づかないケースです。

ご存じの通り、複線マネジメントはチーム制マネジメントの発展形です。チームリーダーを配置して、チーム内でミーティングや対話を行い、各自の意見や、危険な兆候をチームリーダーが察知し、組織長へ報告・相談する態勢です。チームリーダーの役割は、観察、相談、報告であり、組織長の役割は、けん制、仕組みづくり、課題発生時の解決の主体者です。

複線マネジメントを行う際、組織長とチームリーダーの役割が、勝手に変更されていないか実態確認を行うことで、経営が期待している組織長やチームリーダーの役割と、現状のギャップを減らします。

経営が直接実態確認を行うことはできませんから、監査部やコンプライアンス担当部署が組織長やチームリーダーが確認します。仮に、役割と実態のギャップがあっても全否定せずに、ギャップがある旨を伝えて理解を求め、課題ならびに目指す姿について論議することで、解決策が出てきます。

並行して、内部統制力を高める研修を行うことも有効です。各事業活動には様々なリスクがあり、顕在化しているリスクが大きくなると不祥事が起こり、対応を怠ると、企業のレピュテーションリスクに発展します。

現場の実例を基に教育することで、リスクに対する感度が高まり、自分の役割とリスクを対比させる能力ができます。異常事象や事件が起きないと課題が見えてこないのは、内部統制力の教育不足が理由ではないかと感じます。

リスクに対する感度が高い人は、自分の役割範囲を理解しつつ、実務に関心があり、常に観察やけん制を行う目線を持っています。そして、何かに気づくと、最悪の事象を想定しながら対応します。

一方で、リスクに対する感度が低い人は、実務に関心を持とうとしません。サブマネージャーに任せきりで、仮にリスクの兆候がある旨報告を受けても、要観察と回答し、対応指示ができません。異常事象が起こっても、初動が行われません。

この理屈を活用しながら、マネジメントの形や役割を見直していくことで、態勢を整備することに繋がると考える次第です。マネジメントの形は、年々変化していきます。内部統制力は、態勢を整備する中で強化されていくべきと思います。

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