大学運動部による詐取事件について、当該大学が、追加ニュースリリースを行いました。本日は、ニュースリリース内容から読み取れる当事者の認識について、考えてみます。
今回の事件を起こしたのは、6つの運動部に亘って行われていました。同大学の運動部には、奨学金や授業料免除を受けた新入生を騙しすことが、日常化していたことになります。
以下のニュースリリース文面には、違和感を感じました。
6つの運動部以外の3つの運動部については、奨学生として免除された納付金額の一部を当該運動部へ振込んでいた事実が認められるものの、弁護士による調査においても、幹部及び現時点までに聴き取りできた部員・保護者からは、免除された納付金の一部の当該運藤部への振込に関して了解していた旨の供述があり、現時点では不適切な行為はないものと判断できております。使途は、主として奨学生でない部員の授業料・施設設備資金等の本学への納付金の半額・全額ないし一部等に充てられており、幹部の私的使用は認められていません。
部員と保護者は、免除された納付金を運動部口座へ振込を行うを了解していたそうです。奨学生でない部員の授業料や施設整備資金等の納付金に充当することを了解していたという趣旨とも読み取れますが、そこまでの了解はないと思われます。
更に違和感を感じた部分としては、以下の箇所です。
上記以外の3つの運動部については、当該運動部が代行して部員の納付金を学部へ振込んだ事実は認められたものの、すぐに支払いができない学生に代わって幹部が個人的に立替払いをしたなどの理由があり、奨学生・保護者から奨学生として免除された納付金額の当該運動部への振込の事実は存在せず、現時点までの調査において、不適切な事実はないものと判断できております。
当該運動部の幹部が、部員の納付金を学部へ振り込んだり、部員の授業料を運動部の幹部が立替払いしたというのは、いささか信じ難い内容です。調査者は、疑わしいけれども当人たちが言っているから、そのまま報告したのでしょうか。
また、再発防止策は、以下のとおりでした。令和7年度入試からは、すでに本学の入試制度全般の改革が実行されたことから、学費納入の手続きは改められ、運動部が納付金を代理して受領することができない制度に改正されています。また、昨年度から本学として進めている運動部の会計管理の刷新を含めた運動部の改善方策をさらに浸透させて、再発防止に注力致します。
運動部が、学生の学費納付を代行して受領できる制度だったと読み取れます。加えて、詐取行為者である運動部の幹部に対する再発防止策の記載がありません。弁護士に丸投げしている実態は、ニュースリリース文言が法曹界の人が使う言葉でほぼ統一されていることからも伝わります。
不祥事が起こった時は、経営トップや幹部は、調査の一部を弁護士に委ねることはあっても、調査結果を公表にあたり、自社または経営者の言葉で公表するという常識は、持ち合わせて欲しいものです。
企業や団体を経営している皆様には、この大学のニュースリリースを教訓にして、自社の不祥事対応の予行演習をしておくことをお薦めします。



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