上げ馬神事で、馬に虐待などをした疑いで、神事関係者が書類送検された旨、報道がありました。上げ馬神事は、傾斜のある坂道を馬に乗って駆け上がる神事で、最近は観光の一部になっています。本日は、昔の常識が犯罪行為になることついて、考えてみます。
上げ馬神事では、馬を叩いたり、蹴ったりしながら、危険な坂道を駆け上がります。一般的に、馬が草原などの平らな土地を好むのあれば、坂道を上るのは、嫌がっているかも知れません。書類送検を受けた検察庁の判断が、今後の考え方の基準の一部になると思われます。
一方で、馬に乗るには、馬に蹄鉄を打ち、馬具を取り付けて、かかとでわき腹を蹴って前に進めます。競走馬は、最終コーナーで強く鞭打たれていますので、動物愛護法の趣旨からすると、馬への暴力に該当すると言われると、レースそのものが成り立たなくなります。
我々の生活環境の中には、同様の事象はないのでしょうか。神事に近いものでは宗教行事、地域の習わし、企業の商習慣など、あらゆる事象が不安になります。こうした考え方の変化は、必ずしも昔のモノばかりではないようです。
最近では、AI(人工知能)やアルゴリズム(計算方法)の普及に伴い、意図せずカルテルなどの独占禁止法違反事件に巻き込まれるリスクが高まっているとして、公正取引委員会が実態調査を開始した旨、報道がありました。
AIやアルゴリズムを活用した商品価格の調査・設定が近年は活発化しています。機械学習による需要予測なども駆使して、価格設定を自動化する企業が増えつつあります。
複数の企業が同じAIやアルゴリズムを使って機械的に価格を設定すると、旧来のカルテルのような合意を取る必要がなくなります。こういった違反や、アルゴリズムのベンダー(販売業者)がカルテルを主導したり、促進したりするケースもあるそうで、欧米では問題化しているそうです。
事業活動に限らず、生活様式にもあり得る現代の非常識や犯罪行為について、自分の生活を見直したり、事業活動を見直す機会を設けることが、当たり前の活動になることが、直ぐ近くに訪れそうな気がしています。
コンプライアンスは、社会の要請に応えることですから、コンプライアンスを軽んじると、非常識や法令違反に気づかないことで、社会の信頼を失うことになります。



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