昨今、保険業界で起きる事象は、目に余るものがあります。中古車販売店による保険金不正請求事件、保険料調整事件、代理店や保険会社出向者による情報漏えい事件などです。本日は、その原因に迫り、今からすべき代理店の体制整備について、考えてみます。
保険会社が、販売者に対して過剰な対応や投資を行っていることが、上記全ての事象に共通する原因です。その結果、営業職員や代理店は、心地よい環境が整うことから、自ら行うべき体制整備が遅れてしまうようです。
従って、今からすべき代理店の体制整備は、保険会社に頼らない経営、販売を行うこと。加えて、保険会社と一定の距離を保ち続けることが必要です。複数の保険会社を扱う代理店は、特に必要です。代理店にとっては、心地よく楽な事業活動を捨てて、自立した体制を整えていくには、代理店経営者に強い覚悟が必要です。
まず、保険会社が行う各種表彰への入賞を目的にしないこと。自社経営理念に、保険会社が行う表彰へ入賞する旨が記載されていないからです。多くの代理店は、入賞に必要な新規や増額を獲得する為に販売し、顧客本位の業務運営から外れます。乗合代理店は、比較推奨販売義務を歪めて、当該保険会社の特定の商品にシフトして販売します。この行為は、自社の体制を歪めて、整備できない環境を作り出します。
次に、保険会社から受けている恩恵を洗い出し、個々の事象を排除していきます。例えば、広告の掲出、代理店研修生の保険会社への出向制度、大口契約者や法人への保険会社社員の同行訪問、保険会社からの接待受けなどを停止します。
そのうえで、完全に自立した代理店になる為に必要な組織や、役員・従業員の育成体制を考えるべきと思います。保険会社に頼らない、保険会社と一線を科す体制を整備することが、本日お伝えした要旨です。
具体的にイメージができれば、必ず課題が生じます。保険会社のアシストがなくなった時、生じる課題を導き出します。マネジメントの課題、テクニカルな課題、心理的な課題などが、考えられるかも知れません。
その課題を解決する施策が、自社の体制整備になります。解決した未来像に対し、計画を立てて、指示徹底と教育・管理・指導を行い、その実態を検証しながら、改善取組みを行います。このサイクルの連続が、体制整備の記録になります。
更に、その過程において、新しい仕組みに付いて行けない従業員や勤務型代理店が出てくるかも知れません。全体からすると少数だからと野放しにしないで、教育して実態を管理し、必要な指導を繰り返して下さい。それでも、どうしても馴染めない場合には、排除することも必要な判断です。
今後、求められる代理店像は、保険会社に頼らない自立した体制を整備した代理店です。保険会社に頼っている、説明を任せている、保険会社の信頼を傘にして事業活動を行っていることは、お客様起点で見ると、間違ったことであり、非常識なのです。
本日は、保険会社が言いたくとも言えない内容となりましたが、共感できる代理店経営者だけが、生き残っていけると思われます。弊社では、意識の高い代理店経営者の課題解決に向けたご支援を行っております。



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