芸能事務所が、自社サイトに「誹謗中傷等に関する弊社見解と対応方針について」と題して、誹謗中傷対策を公開しました。本日は、企業におけるカスタマーハラスメントへの見解と新しい対応について、考えてみます。
公開した内容は「お客様による自由な表現や応援行為を尊重する一方、ネット上での誹謗中傷や虚偽情報の拡散、過度な憶測記事の掲載やプライベートへの取材行為などの行為に対しては、名誉毀損、プライバシー権侵害、侮辱、ストーカー行為、パブリシティ権侵害等の観点から、警察その他の関係機関及び顧問弁護士と協議のうえ、法的措置を含む対抗策を強固に実行する」と言うものです。所属タレントやスタッフの権利を擁護し、円滑な活動を支援する為に、著しく不当な行為に対しては対抗策を講じるという趣旨です。
これを企業の事業活動に置き替えて、考えてみましょう。自社従業員等の権利を擁護して、円滑な事業活動を支援する立場を簡潔に示す文言を公開することは、現代社会の常識を映した適切な対応です。カスタマーハラスメントの被害を受けたと思われる場合には、名誉毀損、プライバシー権侵害、侮辱、ストーカー行為、パブリシティ権侵害等の観点から不当行為に該当するか、社外の専門家の意見を参考にして、法令ならびに社会倫理に照らして判断するものです。
自社従業員等が、ハラスメント行為による被害を受けないとは限りません。予めハラスメント判断基準を公表しておくことで、自社従業員の心理的安全性を確保する狙いもあります。公開する前に自社従業員等へ内容を開示して、ハラスメント行為や誹謗中傷を受けた場合に、最初に起こすべき行動を教育して、泣き寝入りが起きない仕組みづくりと適正な運用に努めると良いでしょう。
既に社内外に公表している場合には、これを機に、その内容に不適切な文言や違和感のある表現などを見直す機会にすると良いと思われます。公開している文言は、社会の変化や世間の考え方の変革に伴い、意外と早く古びてしまいます。より適切な文言にする為に見直しを行うことで、一度決めて公開したら終わりではなく、不断の取組みとして企業価値を高めていきましょう。こういう企業の活動により、カスハラを含めたハラスメントの根絶と厳しい対応は、現代の新しい流れになると思われます。



コメント