昨今、発生している事件や事象を踏まえて、当局は保険会社に加えて保険代理店(以下、代理店)にも業務品質の向上を求めています。そこで、代理店の業務品質向上策について、考え進めていきたいと思います。
当局が、代理店に対して求めている姿は、代理店実務において、お客様本位の業務運営を継続的にできる姿です。お客様本位の業務運営は、7項目で構成されています。簡単にご説明します。
7項目とは、方針の策定・公表、顧客の最善の利益の追求、利益相反の適正な管理、顧客が負担する手数料等の明確化、重要な事項の分かりやすい提供、顧客にふさわしいサービスの提供、従業員に対する適切な動機づけの枠組み等です。
方針の策定・公表とは、代理店ホームページ等に経営理念などの形でお客様向けに方針を掲載することで足ります。顧客の最善の利益の追求は、代理店経営者、従業員の全てが高い専門性と職業倫理を保つ為の活動と、全員が誠実・公正に業務を継続し、企業文化として定着し続ける姿を求めています。
利益相反の適正な管理とは、代理店自身やその関係会社が利益相反する業務がある企業が対象です。自動車販売修理業、住宅修理業、鍼灸院等の医療機関など、保険支払いや保険会社が提供するサービスと利益が相反する業種があれば、昨今の事件を踏まえて管理体制と見直すことが求められています。
顧客が負担する手数料等の明確化は、お客様が負担する手数料や費用負担について、何に対する対価としての負担なのかを理解できる仕組みを作り運用することです。重要な情報の分かりやすい提供は、契約毎に情報量や質に差がない状態を求めています。募集人個々の資質に任せている代理店には、改善を求めています。
顧客にふさわしいサービスの提供は、意向把握・確認義務と比較説明・推奨販売義務で求めているレベルを常時達成している状態を求めています。従業員に対する適切な動機づけの枠組み等は、従業員を評価する仕組みや、知識習得や動機付けとなる研修などの社内の仕組みが、他の6つの項目を満たすだけのレベルを求めています。
簡単にご説明しましたが、代理店の挙績規模、拠点数、人員数だけでなく、代理店の他業務や関係会社の業務を踏まえて、どういう運営をすれば、顧客本位の業務運営と自社経営理念に合っているかを定期的に経営者が把握して、改善や方向性を年度施策に反映していくことで、適切な業務運営の証左に繋がっていくと思われます。



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