危険運転の定義

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夜間に時速194キロで右折中の対向車に衝突した死亡事故がありました。当初、地方検察庁は、過失運転致死の罪で在宅起訴しましたが、被害者遺族が2万8千人の署名を添えて、起訴内容の変更を求めた結果、危険運転致死罪に変更しました。本日は、危険運転の定義について、考えてみます。

危険運転致死傷罪とは、自動車の危険な運転によって人を死傷させた際に適用される犯罪類型です。法定刑は、負傷が15年以下の懲役、死亡が1年以上の有期懲役です。構成要件は、速度、アルコールの影響、殊更に赤信号を無視、あおり運転、被告本人に危険性の認識(故意)があること(被告が進行の制御不可だったと思っていたこと) など計六項目があります。

初公判にて、被告は危険運転には「そのようなことについては、わかりません」と述べ、弁護側は「制御困難な高速度に該当せず、妨害する目的もなく危険運転は成立しない」として争う姿勢を示しました。

検察側は「194キロでの走行は車体が大きく揺れる。ハンドルやブレーキの操作回数が増えて少しのミスで操作を誤ることがある。夜間の194キロの走行は視野、視界が狭くなり、右折車に気づくのが困難」と主張しました。

また、妨害については「自分の運転で相手に急な退避行動を取らせ、自由で安全な運転を妨げることも妨害行為となる。現場の道路は、右折車があることを前提とした道路で、対向車への認識は当然ある。時速194キロの停止距離は265メートルで、衝突を回避できないほど常軌を逸した高速度で直進していた」と指摘し、危険運転にあたると述べました。

一方、弁護側は「ハンドルがブレたり、制動ができなくなったり、そういったことはなかった。実際に衝突するまで、意図した通り車を車線から逸脱することなく直進走行できた。自分自身の生命や身体の危険を冒してまで対向車線の右折車両に対して通行を妨害する目的を積極的に抱く動機はない」などと主張したそうです。

一連のやり取りを読み終えて、懲役刑を回避したい為の主張であることを除けば、加害者の常識は社会の常識とは異なると感じました。また危険運転は、できるだけ具体的に定義すべきと感じました。ドライブシュミレーションで、時速194キロで走行を疑似体験したいとは思いませんが、高速道路で120キロで走っても恐怖を味わいますから、かなり怖い思いをすると思われます。危険運転の定義は、どう考えますか?

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