保険代理店の業務品質向上策2

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保険代理店さんの業務品質向上策も、シリーズ化することにしました。本日は、多くの代理店経営者が陥っている「業務品質向上策の誤り」について、考えてみます。

保険会社は、代理店全体のデータ、店主の資質、挙績規模、直近年度の成長率、公開物などで、代理店さんの業務品質を評価しています。この評価基準が、代理店経営者を業務品質向上策の誤りへ導いているおそれがあります。

一般社会から見ると、代理店の業務品質とは、募集品質、対応品質、保険事故対応品質、継続品質ではないでしょうか。言い換えれば、契約に至るまでの品質、契約締結後の品質、保険事故が起こった後の品質、品質レベルを継続する品質です。

ところが、保険会社が代理店経営者に対し、お客様の声データ、不適切事案データ、不祥事データ、苦情データ、キャッシュレスデータなどの代理店全社データを提供し、改善を求めています。中には、一定基準を満たせば、代理店手数料ポイントを付加する会社もあります。それゆえ、前述した4つの品質に考えが及ばなくなり、各データの基準達成対策ばかり考えて、自社内に徹底しています。

前述した業務品質を向上させる為には、まず自社の現状を正しく把握することに尽きます。言い換えれば、自社内の品質のトップやボトムを数量で把握するのではなく、自社内の品質の均一化・統一化が出来ているかを把握することです。

例えば、募集品質なら、成績優秀者の表彰や特定商品の獲得目標は不要です。募集品質で求められているのは、代理店内の品質の均一化・統一化です。その為には、募集プロセスを統一化して、実際にできるように指導を徹底して、プロセスが異なる募集や独自の募集スタイルを継続する募集人を改善・排除することです。これが出来ないならば、業務品質を語ることは難しいでしょう。

対応品質であれば、お客様対応のシーンごとに社内ルーティンを定め、それと異なる対応があれば改善していく取組みが、業務品質向上策です。お客様の声やマネージャーによるお客様ヒアリングなどにより、対応品質が社内ルーティン通りに運用されているかを確認して、均一化・統一化するようにリードすることが向上策の一つです。

保険事故対応品質も同じです。保険事故支払いが完了する間には、様々なプロセスがあり、そのプロセスの進行を止めてしまう事象が発生します。プロセスの進行が止まらないように管理するのが、保険事故対応品質です。保険金支払い完了後に、お客様ヒアリングを行い、定めたプロセスが機能したかを把握することが必要です。お客様ヒアリングやお客様の声を通じて、お客様が求める高いニーズを把握して、自社の品質プロセスの見直しに繋げるのが、業務品質向上策です。

継続品質は、契約が継続して保有する為の活動に関する品質と、均一化・統一化された自社の品質の継続性を高める品質です。保有契約に対する取組みは、他の代理店、特に専業代理店や企業代理店に対する対抗策です。自動車ディーラー代理店では、既に均一化・統一化されています。車検・点検・修理・故障などで被保険自動車を通じて、継続品質を高めているからです。

本日は、簡単に記載しましたが、業務品質向上の取組みの目的を正しく理解して、保険会社の提示する数値を目的にしないようにすることも、代理店経営者には大切です。但し、経営者自身が考えて行動するには、限界があります。そこで、社外に相談できて、正しく理解を促す支援者を求めることが、必要と思われます。

業務品質向上策シリーズが好評であれば、継続していきたいと思います。コメント欄やホームページの「お問合せ」より、ご意見をいただけると判断材料になります。感想やご意見につき、いただければ幸甚に存じます。

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