報道機関の誤り

a woman holding a megaphone

終戦の日の靖国神社参拝に関する記事で、現外務政務官が参拝したと、報道機関が誤報しました。議員の出入りを取材する過程で当該政務官が入るのを見たと報告があり、本人に直接の確認取材をしないまま記事化したものです。本日は、報道誤りを通じて、コンプライアンス経営の大切さについて、考えてみます。

該社社長は、誤りを認めて当該政務官に直接謝罪したそうです。ところが、社長が謝罪しても、片付く問題ではありませんでした。というのは、当該政務官が政府代表として出席した世界文化遺産の労働者追悼式に、この記事に接した近隣国の政府関係者が参加しなかったからです。外交関係に影響し、国益を毀損しました。

昨今、新聞、テレビ等の報道機関による報道誤りや誤字脱字が、極めて目立ちます。謝罪して訂正しますとはコメントしますが、発生原因を分析して再発防止策を講じますとは言わないので、再発防止策を講じるには至っていないかも知れません。

報道機関に限らず、企業内で連続して誤りが起こると、誤りがあることが常態化して常識化します。誤りが常識化すると、誤りや間違いを減らそうという改善努力が薄れてきます。それゆえ、大きな影響を受ける事象なるまで、気が付かないのです。

そうならない為には、お客様にご迷惑をかける事象や信頼を失う事象が続いた場合、発生原因を分析する必要があります。誤りの原因の多くは、うっかり人的ミスです。しかし、企業には組織があり、事業活動には確認・決定する業務プロセスが必ずあります。業務プロセスの中に、不都合、常態化、常識化が始まっている前提で、業務プロセスレベルまで、掘り下げてみるべきだと思います。

発生原因が、うっかり人的ミスで終われば、再発防止策は当事者を注意することに留まります。業務プロセスに不都合、常態化、常識化があると見つければ、課題や再発防止策は当事者ではなく、組織や事業活動の見直しという結論になります。

そこまで大げさに対策していたら事業活動が継続できない、非効率で利益に貢献しないと考える企業があります。こういう企業の経営者は、お客様の信頼を失うことよりも、事業活動継続性や利益を優先していることに、気づいていないと思われます。

不都合な事象やお客様の信頼を失う事象が起きた時、自社のホームページの経営理念とお客様へ宣言している項目を読み直す習慣を付けましょう。経営理念と異なる対策を講じようとしたら、経営者や管理職はストップをかける勇気を持って下さい。

今回誤りを報じた企業のホームページには、以下の記述があります。
(前略)確かなニュースを速やかにー。それが、わたくしたちのポリシーです。(中略)ネット空間ではフェイクニュースや中傷、真偽不明の言説が飛び交っています。だからこそ、ファクトにこだわり抜きます。事実を追い、掘り起こし、裏付けを取る。特定の主張に偏らない「公平さ」を重んじながら、記事、写真、動画、グラフィックスとして、いち早く伝える。フェイクの時代に立ち向かう仕事を通じて、これからも「信頼の通信社」であり続けます。

社長の画像と共にに記載している文言です。コンプライアンス経営に優れた企業である為には、今回の事象が起こった業務プロセス、フェイクを削除しファクトのみにするプロセスの有効性、ファクトと確認した根拠を記事に掲載する仕組みの有効性など発生原因を掘り下げ、業務プロセス、社内風土、編集責任の有効性などの誤りや違和感を把握し、誤りや違和感をなくす再発防止策を講じて、信頼される通信社に戻して欲しいと思いました。

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